藤巻:軽井沢に移住者が増えている要因の一つとして、教育の充実があげられます。まず、2014年開校のUWC ISAK Japanは、インターナショナルスクールで全寮制私立高校です。80を超える国や地域から集まる200人の若者 が、英語で議論を戦わせながらダイバーシティー(多様性) やリーダーシップを肌で学んでいます。国際的に認められる大学入学資格 「国際バカロレア」の認定校でもあります。
次に2020年開校の軽井沢風越学園は、幼稚園と義務教育学校からなる12年間の幼小中混在校です。自然の中で学ぶというとてもユニークな教育プログラムが人気です。この二つの学校に加え、従来からの軽井沢町立小学校や中学校もあるので、軽井沢の教育の多様性や充実度はとても高いと思っております。
軽井沢は明治時代のサロン文化に端を発し、人と人が交わることで成長していた歴史があります。また地元住民も政財界や宣教師などの西洋人の方から様々な文化・風習を学び、とても寛容性が高いといった特徴があります。多様な人々が交わり様々なディスカッションし、お互いに学び合い成長する、軽井沢にはその風土が根付いています。
鈴木:学術的にも、多様な人たちの活発な交流がある地域は魅力度が高いといった研究はいくつかあります。アメリカの社会学者、リチャード・フロリダは、「クリエイティブ・クラス」と呼ばれる知識集約型産業で働く人々が、特定の地域に集まって住むことで、新しい価値が創造され地域の魅力度が増し、さらに多くのクリエイティブ・クラスを引き付けるという好循環が生まれる。その多種多様な人々の集積が、地域の魅力を高める要素の一つであると述べています。軽井沢はその最適地であると言えるでしょう。
環境戦略、ゼロカーボンシティ、ウェルビーイング
雲場池(旧軽井沢)。春の桜、秋の紅葉など多くの観光客に親しまれている観光名所。軽井沢駅から徒歩20分。(写真提供:一般社団法人軽井沢観光協会)
鈴木:軽井沢には先人たちが大切に守り続けてきた豊かな自然環境が有ります。これが軽井沢の価値創造の原点だと思ってます。また、藤巻町長はゼロカーボンシティを積極的に推進されてます。
藤巻:自然環境を守ることはとても重要です。今の軽井沢ブランドが維持されているのも、その自然環境が大切に守られているからです。特に自然環境問題は、再生可能エネルギーも含め重要テーマだと認識しております。ゼロカーボンシティの推進は、まさにその中心テーマです。今後は、信州大学、東京大学との包括連携協定を軸に、軽井沢らしいゼロカーボンシティの実現に力を入れていきたいと考えております。