堅田:内田さんはBtoCで売上を伸ばすまでに、どういった試行錯誤をされたんでしょうか。
内田:最初はどうしたらいいかわからず大赤字でした。デザイナーのアイデアのままに、お椀の形をしたランプシェードや、お椀形のテーブルを作ったことがあるんです。一見面白いなって思うじゃないですか。ですが、お椀と、照明や机などのインテリアの流通経路は全く異なります。いろんな媒体で取り上げられても、流通を持っていないので全く売れなかったです(笑)今だったら、まず持っていない流通経路には飛び込まない。やるとしても導線を確保してから始めますね。
堅田:私が十数年前に燕三条地域に移り住んで工場を回ったときに「デザイナーって嫌いなんだよね」と言われることがありました。おそらく内田さんのようにデザイナーの作りたいものに寄せて行って、あまりいい思いをしなかったんだと思います。いま考えると、お互いの歩み寄りが大事で、事業者側も適切なオーダーをする必要があります。例えば、流通経路はこれで、売上目標はどれくらいか、どんな目的を達成するためにデザインしてもらうのかなど、オーダーの仕方次第で成功するのか失敗するのかも変わってくる。
米津:堀田さんや内田さんがおっしゃっていたように、成功と失敗の解像度の高さって大事ですね。私も実店舗を出したときに、売上以外の成功の解像度が低かったことで成功したのか失敗したのかわからないまま店を閉じたことがあります。売上が出るかだけでなく、お客さんはどんな印象をもつのか、スタッフは楽しんで働けているかなど定量化できないことも想像して、成功と失敗のイメージを明確化することが必要だと思います。
クリエイティブとお金の話
堅田:継続していくためには、途中で軌道修正など事業の見直しも必要になってくると思いますが、そういったことも含めて予算はあらかじめ設定しているのでしょうか。堀田:やはり予算化しないと上手くいきません。商品の金額が高いかどうかは、誰がオーダーするかによっても変わる。なので、高いか安いかの議論をするのではなく、デザイナーにとってのクライアントである僕ら(企業側)が、いくら使えるのかをはっきり提示する必要がある。そして使ったお金に対してPDCAをきちんと回し、来年も繰り返しできるのかデザイナーも一緒に振り返って、翌年の予算を決めています。
内田:予算もそうですが、相場を知っておくことも大事ですね。報酬は一括がいいのか、販売価格の数%を渡すのかといったデザイン料のことなど、はじめはわからないことも多いと思うので、展示会などで情報を集めておいたほうがいいと思います。