働き方

2023.11.18 14:30

地域でいま輝く若手の人材像は? 地域活性化のキーパーソン7人が語る

「新しい社会のビジョンを体現するフィールド」へ

林 篤志|Next Commons Labファウンダー
はやし・あつし◎1985年生まれ。2016年、一般社団法人Next Commons Labを設立。paramita共同代表。Crypto Village共同代表。ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Local Coop」を展開。多様なセクターと新たな社会システムの構築を目指す。

はやし・あつし◎1985年生まれ。2016年、一般社団法人Next Commons Labを設立。paramita共同代表。Crypto Village共同代表。ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Local Coop」を展開。多様なセクターと新たな社会システムの構築を目指す。

地域でさまざまな課題解決プロジェクトが行われていますが、特定の地域の特定の課題解決をしても大きなインパクトは出しづらくなっています。地方創生や地域活性化はコモディティ化し、数十年単位で見たときに、現在顕在化している課題を解決するソリューションができても誤差に過ぎません。課題解決の対象としての地域という存在から、新しい社会のビジョンを体現するフィールドとしての地域というふうに、立ち位置を変えなくてはいけないと思います。さらに、課題の根底を考え、構造的な問題にアプローチすることの重要性が増しています。
 
2年前に始まった「Local Coop」というプロジェクトは、第二の自治体を自分たちでつくるというものです。日本には1700以上の自治体がありますが、その半分以上が消滅する可能性があるといわれていて、へき地に行けば行くほど、社会行政インフラが機能しなくなってきています。この地域にもう住めなくなるという段階で、表面的な課題解決をしても意味がありません。そこで、まったく新しい行政自治のプラットフォームをつくろうとしています。
 
最終的に目指しているのは、地域住民だけでなく、関係人口、デジタル住民による直接民主の世界です。デジタルの力で、徴税と再分配の新しい自治モデルをつくることができれば、誰もが住みたい場所に住める世界になると思います。

実例7
みんなの図書館 by 土肥潤也(みんなの図書館さんかく館長)

静岡県の焼津駅前の空き店舗を活用し、完全民営の私設図書館「みんなの図書館さんかく」を開館。一箱本棚オーナー制度を導入した市民参画の仕組みで全国60館にも広がる。

自治の民主化を実装する人材

行政が担ってきた公共サービス、つまり市場経済の失敗によって放り出されてしまったものに対してアプローチを試みる人材が活躍しています。例えば、公共施設のイメージが強い図書館など、資本主義だけではコスパが合わないものを、エコシステムとして回るビジネスモデルに変える。地域を実践のフィールドとして実装したり、デジタルの力で理論的につくっていったり、さまざまなアプローチで先陣を切ってやっていくことが重要でしょう。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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