「サヴァ缶」プロデューサーが語る、応援で終わらせない商品づくり

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?


未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol.59配信のゲストは一般社団法人NoMAラボ代表理事の高橋大就。高橋は、東日本大震災を機に、東北の食の再生と日本の食全体の海外進出に取り組んでいる。高橋が考える復興は、支援する者とされる者の構図ではなく、一緒に付加価値のあるものをつくりあげることだ。

中道:今回は、一般社団法人NoMAラボ代表理事の高橋大就さんをお迎えしています。

高橋さんは1999年に外務省に入省し、2003年から2005年に在米国日本大使館に勤務。2008年に外資系コンサルティング企業マッキンゼーに転職。2011年、東日本大震災の直後から東北に入り、緊急支援のNPOへ参画。同年6月、一般社団法人東の食の会を立ち上げ事務局代表、オイシックスの執行役員・海外事業責任者に就任。

その後、2020年には一般社団法人NoMAラボを設立。21年4月より福島県浪江町へ移住し、東の食の会として、食のブランドづくり、NoMAラボとしてまちづくりにかかわっています。まず、アメリカ大使館ではどのような仕事をされていたのでしょうか。

高橋:僕はゴリゴリ安全保障の人間でして、外務省のみを志望していました。入省後も、アメリカを志望して、政務班というところで北朝鮮の核問題やイランの核問題を、アメリカ政府と協力しながら情報を取って仕事をしていました。

中道:アメリカに行って、どうでした?

高橋:アメリカには「自立性」とか「自由」とか「個」というものがしっかりあります。アメリカは自由の価値がすごく高いけれど、日本は安全の価値が高くて相対的に自由の価値は低い。僕はアメリカの自由の価値の高さに惹かれたのですが、アメリカの良い面も悪い面も見てきたので、今は浪江町で絶対にアメリカよりも良い社会を作ろうと強く思っています。

中道:その後マッキンゼーに入られますけど、国の役人からビジネスコンサルという全然違う世界に行かれたのはなぜでしょう。

高橋:帰国したあと通商問題や経済問題を担当することになったんです。そしたら、日本経済、とくに地方経済の疲弊や農村の疲弊が進んでいることの方が、北朝鮮がミサイルを撃って攻めてくる脅威よりもヤバいという危機感にかきたてられて。もう、いてもたってもいられなくなって。

自分では「一次産業×海外」にチャンスがあることはマクロ的にわかっていましたし、やるべきこともわかっていたのですが、それをやるスキルが自分にないこともわかっていて。まずどこかでスキルを身に着けてから海外で勝負しようと考えて転職をしました。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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