働く場所の自由化が「余白」と「新事業」を生む
島田由香|YeeY 共同創業者/代表取締役地域活性化に関わるようになったのは、数年前に友人に日本の田舎に連れていってもらったことがきっかけでした。山や森の美しさ。水のおいしさ、食材の豊かさ、すべてが驚きでした。その地域にいる農家や漁師さんたちの魅力や人を動かす力にも驚かされました。私は組織論やモチベーションのセオリーを学んで長く大きな組織にいましたが、彼らのリーダーシップや人の魅力に魅了されました。
そこからいろいろな地域に足を運ぶようになりましたが、同時に昔から感じていた今の働き方への違和感が強くなってきました。毎日通勤し、オフィスで感情を押し殺して一日過ごす。もっと自由な働き方があってもいいんじゃないか。結果さえ出せれば、どこで何をしてもいいはずです。そこから生まれたのが、働く時間・場所を社員が自由に選べる、ユニリーバの独自人事制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)とい仕組みです。
さらに、どこで働いてもいいという会社の制度のもと、効率的に仕事をして、そこで浮いた時間を使って自分の知識や労働力で地域活性化に貢献し、その対価として宿泊を無料にしてもらう、という仕組みにまで発展させました。新型コロナによって、働き方や生き方、暮らし方を見直すことになり、その気づきが、新たな事業へとつながっていきました。
実例4
現代集落 by 林 俊伍(こみんぐる取締役)
能登半島の先端、石川県珠洲市で2021年に始まった実験的なコミュニティ。テクノロジーを活用して、地域資源が循環する集落への再構築を目指す。古民家の再生や「道」の造成も行う。