ザポリージャ上空で今起きていることは、ロシアがFPVドローンの配備に本腰を入れたため、避けられないことだった。逃れられないロシアのドローンの存在により、ウクライナ軍の戦車の乗員にとって特に昼間に身を隠さず野原や道路を移動するのは非常に危険な行為だ。それは、第33旅団の戦車の乗員がもちろん理解している残酷な現実だ。
はっきりさせておくと、ウクライナ軍は西側製の戦車を使い果たしつつあるわけではない。最近、戦車の損失が急増したが、ウクライナ軍は西側が供与した戦車の維持に全体的に成功している。これまでにウクライナはドイツ製のレオパルト2A4(40両)、レオパルト2A6(21両)、レオパルト1A5(20〜30両余り)、スウェーデン製のStrv 122(10両)、英国製のチャレンジャー2(14両)、米国製のM1A1エイブラムス(31両)を受け取った。追加のレオパルト1と2も届く予定だ。
反攻開始からの4カ月の激戦で、ウクライナ軍はレオパルト2A4を7両、2A6を3両、チャレンジャー2を1両失った。ウクライナの同盟国が供与した150両ほどの戦車のうちの11両だ。
一方で損傷した戦車はそのままになることはない。戦車コンサルタントのニコラス・ドラモンドは「失われた戦車もあるが、回復率はすばらしい。損傷した戦車を迅速に修理し、再び使用できるようにしている」と指摘している。
だがウクライナ側の損失率は間違いなく大幅に悪化している。今後ウクライナが優れた戦車を維持するためには、小型ドローンから戦車を守るための対策を講じる必要がある。
それには3つの手法が考えられる。1つはドイツ製の優れたゲパルト自走対空砲など、より機動性の高い対空砲を配備することだ。それから、ドローンの制御信号を妨害できるジャミング装置を増やすこと、そして敵のドローン部隊が脅威となる小型ドローンを飛ばす前にその部隊を標的にすることだ。
「双方ともFPVドローンの増大し続ける脅威にできるだけ早く適応しようとしている」とベンデットはいう。
だがドローン操縦士らも適応している。戦車を狙うFPVドローンの第一世代は、重量がわずか1kg前後で、その半分の重さのものを搭載できるというモデルが主流だった。
いまドローンは大型化し、最大約4.5kgを搭載するようになっている。4.5kgの爆薬は、1kgの爆薬よりはるかに大きなダメージを与えることができる。
(forbes.com 原文)