最近のレオパルト2の損失は、すべてウクライナ南部ザポリージャ州で発生した。ウクライナ軍が南部で反攻を開始して4カ月が経つ。同州では疲弊した第47機械化旅団に代わって第33機械化旅団が最近、反攻を主導している。第33旅団は、欧州の同盟国から今春、第1弾として供与された40両のレオパルト2A4を唯一運用している。
「この方面での敵の損失は兵士85人、レオパルト2両を含む戦車3両、装甲戦闘車両4両、軍用車両2両にのぼる」とロシア政府は10月26日、国営タス通信に語った。
ロシア国防省はウクライナ側の損失についてよく嘘をつくため、疑ってかかる必要がある。だが、レオパルト2への最近の攻撃の少なくとも1つを撮影したとみられる映像があることにも注意したい。
レオパルト2の損失の急増は予想外ではない。第33旅団がザポリージャ州のベルボベからメリトポリにかけての攻勢軸でロシア軍の連隊と日々接近戦を展開するにつれ、同旅団のレオパルト2大隊(通常、少なくとも30両の戦車を運用する)は地雷や砲撃、そして最も致命的な爆発物を搭載したFPV(1人称視点)ドローンの攻撃をますます受けている。
最近発生した5両のレオパルト2A4の損失のほとんどは、ドローン攻撃によるものだったようだ。ロシア軍のドローン作戦の急増は、第33旅団の損失拡大のもう1つの大きな要因である可能性がある。ザポリージャ上空ではFPVドローンがますます増えている。
米シンクタンである戦略国際問題研究所の欧州・ロシア・ユーラシア部門で非常勤上級研究員を務めるサミュエル・ベンデットは、約450gの擲弾を搭載する重量900gのFPVドローンはそれほど強力な対戦車兵器ではないと説明する。
「すべてのFPVの命中が実際の損失につながるわけではなく、FPVが他の兵器より常に優れているとは限らない」とベンデットはいう。「戦車のように大きく、しっかりと装甲が施された標的を破壊するには、複数のFPVドローンによる攻撃が必要となることもある一方で、強力な対戦車ミサイルなら一発で仕留めることができる」
だが、FPVドローンは往々にして群れをなして攻撃する。最初の攻撃は戦車にダメージを与え、おそらく動けなくする。続く攻撃で、徐々に戦車を破壊していく。
保有するドローンが多ければ多いほど、車両1台に対してより多くのドローンを投入できることはいうまでもない。ロシアはこの1年、小型ドローンの国内生産を大幅に拡大し、同時に熟練したドローン操縦士の部隊を養成した。