ウクライナ軍は、どんなに古いものであっても、装甲車両を無駄にしたりはしない。1960年代に生産されたT-62の一部を、工兵車や歩兵戦闘車に改造した。
ロシア軍が遺棄したT-62は、ウクライナ領土防衛隊の旅団に次々と流れ込んでいるようだ。24日にネット上に出回った写真には、第110領土防衛旅団で使用されている重量41トン、乗員4人のT-62Mが写っている。
📷exRussian T-62M tank in the service of Ukrainian 110th Territorial Defense Brigade. #UkraineRussiaWar pic.twitter.com/q78UmFGXjm
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) October 24, 2023
T-62は古い。装甲は最も厚いところでも215mmしかない。ウクライナ軍の標準的なT-64の装甲はその3倍だ。
加えて、T-62の115mm滑腔(かっこう)砲は不安定で、火器管制は簡素なものだ。大半のT-62モデルは夜間の戦闘ではアクティブ式赤外線暗視装置に頼っている。標的を照らすには、敵軍に見つかる赤外線スポットライトのスイッチを入れなければならない。
ロシア軍は2022年夏から数百両の古いT-62を再稼働させ始め、その大半を第二線の予備大隊に配備。それらの大隊はT-62のほとんどを前線の数km後方での火力支援任務に割り当てた。こうした動きにはそれなりの理由がある。
つまり、砲の仰角を大きくし、ウクライナ軍の陣地に不正確な砲撃を加えることで、T-62はDIYのりゅう弾砲として機能する。
T-62に戦車としての欠陥はあっても、戦車が全くないよりはましだ。だからこそ第110旅団は、鹵獲したロシア軍のT-62を喜んで戦闘序列に加えるのだ。
ウクライナ領土防衛隊の約30個の旅団は、米国でいえば陸軍州兵の旅団に相当する。部隊の規模は2000人ほどで、年をとった退役軍人や動員された市民らで構成され、通常の兵士よりも少ない訓練を受ける。ただ、戦車や戦闘車両、大砲など十分な装備を備える傾向がある米陸軍州兵の旅団とは異なり、軽装備であることが多い。