この不吉な動きについて、ウクライナ軍南部司令部は25日に「敵は黒海の民間貨物船の航路方面に、衝撃を与える4つの未確認物体、おそらく機雷と思われるものを投下した」と報告した。
機雷はこの回廊を通じたウクライナ産穀物の輸送を妨げ、停止させる可能性すらある。これはウクライナの経済、そして世界の食料安全保障に大きな影を落とすものだ。同国は特にアフリカにとって主要な穀物供給国となっている。
ロシアが侵攻して以来、黒海西部は戦場となっている。ウクライナ海軍は、唯一の大型戦艦だった砲撃可能なフリゲート艦を失ったにもかかわらず、ロシア海軍の艦船を黒海西部から追い出すことに成功している。
ウクライナ海軍は地上発射弾道ミサイルや空中発射巡航ミサイル、ドローン、爆薬を積んだ無人艇などを用いて、ロシア黒海艦隊が保有する30隻あまりの大型戦艦のうち6隻を撃沈し、大破した。内訳は巡洋艦、潜水艦、補給艦の各1隻と水陸両用艦3隻となる。この他にも数隻の哨戒艇や上陸用舟艇も損傷させている。
📷Sandown-class minehunters M310 Chernihiv and M311 Cherkasy of Ukrainian Naval Forces during Joint Warrior 23 multinational exercises. #UkrainianNavy pic.twitter.com/uS62buTGiD
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) October 23, 2023
黒海艦隊の着実な戦力低下により、ウクライナは8月に戦略港であるオデーサ港とトルコのボスポラス海峡を結ぶ回廊を再開。この2カ月で40隻近くの大型貨物船が70万トンの穀物を積んで安全に回廊を通過した。
それはロシアが回廊に機雷を投下したと報じられる前のことだ。機雷の敷設に黒海艦隊がどの航空機を使ったのかははっきりしていない。だが、同艦隊が残っているわずかなベリエフBe-12飛行艇への依存度を高めていることは注目に値する。Be-12は60年前に生産された古い飛行艇で、ロシアがウクライナに戦争を仕かけていなければ忘れられていたであろう代物だ。
ウクライナ軍は、ロシア軍機が機雷を投下したことを察知したようだが、妨害することはできなかった。ウクライナはロシアによる黒海西部の完全な支配を否定しているが、かといって自国による完全支配もできていない。ロシアが占領する南部クリミアに設置されている広範な防空網のために、黒海上空の哨戒飛行はウクライナ空軍にとって危険な任務となっている。
ウクライナ海軍はこのほど、英国からサンダウン級機雷掃海艇2隻を手に入れたが、いずれも、そしてその乗組員も英国の領海で訓練中であり、黒海へ安全に航行できる日を待っている。2隻とも軽武装のため、紛争海域では長くはもたないだろう。
ウクライナには、潜水士や英国が昨年供与した小型海中ドローンなど、機雷を除去する他の手段がある。穀物回廊を再開させるためにこれらの手段が活用されるだろうが、ロシアがさらに機雷を投下することも予想される。
(forbes.com 原文)