元幹部によれば、フセイン大統領は当時、駐イラク米国大使と会った際、「イラクがクウェートに侵攻しても米国は介入しない」と受け取れるような発言を聞いたという。米国大使はそんなつもりで言ったのではなかったかもしれないが、フセインにはそう聞こえたようだ。元幹部は「イラクは、イランとの戦争時、欧米諸国から支持を得ていた。フセインは自分はパイプがあり、西側諸国もクウェート侵攻を理解してくれるという変な自信があったのかもしれない」と話す。
今回、ハマスは攻撃直後、大量の武器支援をしてくれたとして、イランに感謝するメッセージをSNSで何度も発信していたようだ。同時に、ロシアやイラン系とみられるアカウントからは、「西側諸国がウクライナに支援した武器が、ハマスに流れ、今回の攻撃に使われた」という趣旨のメッセージが流れている模様だ。チェコ国防大学インテリジェンス研究所の細田尚志助教授はこうした発信について「ウクライナは汚職などがひどく支援を横流しするような信頼できない国なので、支援しても無駄だというメッセージだろう」と語る。ハマスがイランに感謝しているメッセージについては「世界を流動化させたい、ロシアやイランが甘言を弄して、ハマスをその気にさせてしまったのかもしれない」とも指摘する。
欧州では最近、旧ユーゴスラビアのコソボとセルビアの間で衝突の懸念が高まっている。旧ソ連構成国、モルドバのサンドゥ大統領は今月、ロシアがモルドバで来月行われる地方選や来年の大統領選などへの介入を企てていると明らかにした。細田氏は「世界のあちこちで紛争を起こして、ウクライナに対する西側諸国の支援を分散させたい意図を持っている可能性がある」とも語る。
どんな理由であれ、ハマスが引き起こした軍事衝突で多くの人々が悲劇に見舞われた。死者の数もどんどん増えている。ハマスも含め、誰も幸せになれない状況が続いている。
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