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2023.10.17 12:00

ハマス、イスラエル主力戦車の撃破方法記したビラ配る

イスラエル軍のメルカバMk.4主力戦車。2014年11月、イスラエル・ラトルンの博物館で(Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com)

ハマスのテロリストたちは、イスラエル軍の重量70トンのメルカバMk.(マーク)4主力戦車を撃破するすべを心得ていると考えている。

いわく、後部ハッチや砲弾収納庫のあたり、砲塔と車体の間のスペース、横っ腹、車体前方の装甲が弱そうなところを狙え。攻撃にはロケット弾や道路脇の即席爆発装置を使え──。

ハマスは7日にイスラエルに対する越境攻撃を実行するにあたって、そんな助言を図解入りで記したビラを配っていたらしい。この攻撃ではイスラエル人と外国人計1400人以上が殺害され、ガザを取り囲む障壁近くのイスラエル側集落の住人ら数百人が拉致された。

イスラエル側はビラを少なくとも1枚回収し、ソーシャルメディアにその画像を投稿している。この1枚はたぶん、死亡したハマス戦闘員が所持していたものだろう。


戦車の弱点についての助言は、実戦経験のある人にとっては驚くような内容ではない。砲弾収納庫、砲塔リング、腹部といった箇所は、ほぼすべての戦車の弱点だからだ。

それよりも驚くべきは、イスラエル軍のメルカバMk.4およそ400両の一部に搭載されている最新のアクティブ・プロテクション・システム「トロフィー」を破るための助言だろう。トロフィーは小型レーダーと速射グレネードランチャーを組み合わせ、飛んでくるミサイルやロケット弾を自動で探知・迎撃する装備だ。

ハマスは、45mくらい以内からロケット推進式擲弾(てきだん)を放てば、おそらく反応が間に合わないためトロフィーを出し抜けるとみている。あるいはSPG-9無反動砲でも、単純にその弾の速さによってトロフィー搭載の戦車を打ち負かせると考えている。

7日の襲撃に参加したハマスの戦闘員は、PG-7T対戦車擲弾でメルカバを損傷させた形跡がある。ただ、発射時にどのくらいメルカバに近づいていたかはわからない。ビラの助言に忠実に従った可能性もあれば、数発連射してトロフィーを圧倒した可能性もあるだろう。

いずれにせよ今回、メルカバに対する攻撃で最も大きな戦果をあげたのは擲弾発射部隊ではなかった。それはドローン(無人機)を運用するチームだった。ハマスの小型ドローンは重武装で装甲の分厚いこの戦車を少なくとも2両攻撃している。1両はエンジンを保護する車体前部の薄い装甲を突かれ、もう1両は、120mm滑空砲の砲弾を収納する砲塔後部の張り出し(バスル)部を狙われている。

ハマス側はイスラエル軍のナハルオズ基地で、超重量級の装甲兵員輸送車12両強とともにメルカバ1両も鹵獲(ろかく)している。4人の乗員が誰もおらず、停車しているメルカバに関しては、ビラの助言を必要とするまでもなかっただろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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