しかし、ウクライナにおける砲兵の戦いはそれとは異なるのだという。「アーティ・グリーン」のコールサイン(無線通信時のニックネーム)を持ち、9年前からロシアの侵略者と戦ってきた老練な砲兵将校が今月語ったところによれば、榴弾砲同士の砲撃合戦は2015年時点ではウクライナでもよくあったが、今や「過去のものになった」という。その理由は明らかだ。
ドローンと精密弾である。ウクライナ軍もロシア軍も、2014~15年に比べてはるかに広範囲をカバーする24時間体制の上空監視システムを備えている。精密誘導弾やロケット弾もある。
したがって、砲兵旅団が敵の砲兵旅団を攻撃する機会をつかんだ場合、それは通常30km以上離れた場所から敵の拠点を発見したためであり、レーザー誘導弾やGPS誘導弾の初弾が炸裂するまで標的は自分が照準にとらえられていることに気づかない。
「今は精密兵器を用いた長距離での運用が主流だ」とアーティ・グリーンは述べた。「敵の砲兵を発見したら、最適な射撃システムを選択して攻撃する」
この新しいタイプの対砲兵戦では、ウクライナの砲兵旅団が優勢だという。それは、より優れた情報を得られるからであり、米国製GPS誘導弾である155mm砲弾エクスカリバーやM30/M31ロケット弾など、精密誘導弾をより多く保有しているからだ。
もちろん、ロシア軍の砲兵部隊も独自の誘導弾を保有している。だが、衛星誘導式の152mm砲弾クラスノポールは、エクスカリバーに比べて弾数も精度も劣る。アーティ・グリーンは、贔屓目もあるだろうが、「精密弾はロシア軍には対抗し得ないものだ」と述べてクラスノポールを全面否定した。
ウクライナの砲兵部隊は信頼性の高い補給線と安定した砲弾供給の恩恵を受けており、目標をとらえたらすぐさま砲撃できる。対照的に、ロシアの砲兵は幸運を祈るしかない。