ウクライナ海軍はここ1カ月足らずの間に、そのうちの2基を破壊した。S-400が1基破壊されるごとに、セバストポリを拠点とするロシア海軍の黒海艦隊を守るものは減る。
8月23日にまずクリミア半島北西部のタルクハンクト岬にあるS-400が、そして9月14日には約58km南のエフパトリアにあるS-400が攻撃を受けた。
どちらの攻撃にも地上発射型の対艦巡航ミサイル、ネプチューンの最新型が使用されたと報じられている。ウクライナが2022年4月に黒海艦隊の巡洋艦モスクワを撃沈したオリジナル型の弾頭の重さは約150Kgで、射程は約305km。改良された最新型の弾頭は約350Kgで、射程は約362kmだ。
ウクライナのルチ設計局は、GPSで誘導されるレーダーシーカー(目標捜索装置)をネプチューンに初めから組み込んでいた。ミサイルはGPS座標へと誘導され、座標地点に到達すると、レーダーが形状をもとに攻撃するべき目標を探す。
このGPSとレーダーの組み合わせにより、ネプチューンは海上でも陸上でも同じように目標を狙えるが、ルチ設計局の担当者は新型では誘導手法に手を加えたと明らかにしている。追加されたのは赤外線シーカーの可能性がある。
改良が何だったにせよ、ネプチューンは有用な兵器となっている。ネプチューンで狙うべきものを海軍に示す情報収集装置も同じだ。対照的に、ロシア軍の防空システムはうまく機能していない。少なくとも、低空を飛ぶ巡航ミサイルに対してはそうだ。
S-400は、ロシアが持つ最高の長距離地対空ミサイルシステムで、本来であればネプチューンのようなミサイルを撃ち落とせるはずだ。だが、実際には撃ち落とすどころか、逆にネプチューンに破壊されている。レーダーとミサイルの相互支援ネットワークが崩壊しているため、ウクライナ軍がミサイルでS-400を攻撃をするたびに、次の攻撃が成功する可能性が高まる。米シンクタンクの戦争研究所は「クリミアにあるロシア軍の防空システムには、全体的な戦術的失敗があるのかもしれない」と指摘した。