欧州

2023.09.13 23:00

ウクライナ、クリミアのロシア海軍基地攻撃 軍艦2隻損傷か

ロシアの占領下にあるウクライナ南部クリミア半島の港湾都市、セバストポリのロシア海軍基地(Vadim Anokhin / Shutterstock.com)

ロシア軍の占領下にあるウクライナ南部クリミア半島セバストポリのロシア海軍基地を、ウクライナ軍部隊がどのように攻撃したのかはわからない。セバストポリはウクライナの前線から南へ240kmほどに位置する。

ウクライナ軍は、爆発物を積んだ水上ドローン(無人艇)を何隻か、厳重な防御が施されているセバストポリ港に潜入させたのかもしれないし、弾道ミサイルか巡航ミサイルを撃ち込んだのかもしれない。あるいは破壊工作員たちが港に忍び込んだのかもしれない。

いずれにせよ、本記事を執筆している現在、黒海艦隊にとって重要なのは攻撃の手段が何だったかではなく、13日未明に爆発したドライドック(乾ドック)の火災を消し止めることだろう。この乾ドックにはロプーチャ級揚陸艦とキロ型潜水艦が各1隻入っていたと伝えられる。

軍艦が大きく損傷する前に火を消し止められなければ、黒海艦隊は約30隻の大型艦艇をさらに2隻失う可能性がある。これらの大型艦は、ロシアがウクライナで拡大させた現在の戦争が終わり、黒海と地中海の出入り口であるボスフォラス海峡の通行禁止をトルコが解かない限り、ほかの艦艇で置き換えることもできない。

黒海艦隊にとって目下の戦争は非常に厳しいものになっている。8月には、クリミアから東へわずか110kmほどのロシア南部ノボロシスク港で、ロプーチャ級揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」を夜間に水上ドローンで攻撃された(編集注:同艦は北方艦隊に所属していたが、2022年2月の戦争開始前に黒海艦隊の増強に振り向けられた)。これにより、ウクライナ海軍の攻撃を受けて戦闘不能に陥った黒海艦隊の主要艦艇は計4隻になった。

ほかはタピール級揚陸艦「サラトフ」(2022年3月、弾道ミサイル攻撃で大破)、ミサイル巡洋艦「モスクワ」(2022年4月、対艦ミサイル攻撃で穴が空いた)、救助曳船「ワシリー・ベフ」(2022年6月、同じく対艦ミサイル攻撃の犠牲に)。オレネゴルスキー・ゴルニャクは攻撃を受けてから数日後にドライドックに入っており、たぶんこの戦争の間は復帰できないだろう。

ウクライナ側はさらに、ロシア海軍の複数の哨戒艇や揚陸艇も撃沈したり大きく損傷させたりしているほか、このほど黒海西部でロシア側が前哨基地として使っていた石油掘削施設2基の支配も取り戻している
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翻訳・編集=江戸伸禎

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