欧州

2023.09.25 11:30

砲撃合戦は「過去のもの」 遠距離で狩り合うウクライナ軍とロシア軍

遠藤宗生
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ロシアの軍需産業は、理論上はウクライナと西側同盟国の軍需産業を合わせたよりも高い生産能力を誇る。しかし、ウクライナの砲兵が輸送部隊や弾薬庫を標的にしているため、ロシアは工場から前線への砲弾の輸送に苦心している。「敵の砲撃が減ったのは、わが軍が敵の兵站基地を叩いた結果だ」とアーティ・グリーンは主張した。

ウクライナ空軍、特に英国製の巡航ミサイル「ストームシャドー」を搭載したスホイSu-24M爆撃機を擁する第7戦術航空旅団が、兵站基地攻撃による「武器庫の排除」に貢献しているという。

アーティ・グリーンは愛国心が強く、対ロシア戦争にもウクライナ軍の作戦行動に対しても強い思い入れを持っているが、一方的な対砲兵作戦に関する見解は間違っておらず、誇張されてもいない。

実際、ウクライナが6月に待望の南部反攻作戦を開始して以降、第三者の集計によるウクライナとロシアの損害には深刻な格差が表れている。戦況を注視している観測筋の集計では、ロシア軍はこの3カ月間に南部戦線だけで砲70門を失った。ウクライナ軍の損害は約20門だった。

ロシア軍がウクライナ軍の榴弾砲やロケット砲を1門破壊する間に、ウクライナ軍はロシア軍の榴弾砲やロケット砲を3門以上破壊しているのだ。現在展開されているのは伝統的な砲撃戦ではないが、それでもなお対砲兵戦であり、ウクライナが勝利しつつある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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