健康

2023.09.18 13:00

便秘や下痢が続く……過敏性腸症候群かも? まずは「うんちの観察」を

腸活で、女性ホルモンによる揺れの振り幅を小さくする

——妊娠中や更年期など、女性ホルモンによる心身の振れ幅がある女性ならではの腸活アプローチはあるのでしょうか?

生物学的な女性のほうが便秘になりやすいのにはいくつかの理由があって、まず女性ホルモンの「黄体ホルモン(プロゲステロン)」には大腸の動きを抑える作用があります。

それから大腸は肋骨の両脇の端にくっついてぶらさがっていているんですが、女性は腹筋が少なく、子宮があるため腸が下がりやすく、うんちの通り道が狭くなってしまうことも。

さらに、骨盤底筋群の筋力が弱ってくると踏ん張る力がなくなってしまうこともあります。妊娠や生理の周期によって便秘になりやすいのは仕方ないとして、骨盤底筋を鍛えることはスムーズにうんちを出すことにもつながります。

また、腸活によっていい菌を育てていくことで、女性ホルモンによる心身の調子の振れ幅を小さくしていくこともできると思います。

例えば女性ホルモンの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」によく似た「エクオール産生菌」という菌があって、更年期症状の緩和などに効果があると言われています。が、腸内細菌は3歳頃までに決まるので、エクオール産生菌が腸内にいる人は女性の半数くらいなんですね。

ただ腸内環境を整えたり、大豆類をとることでエクオールの産出量が増えるという報告もあります。なので、腸活として大豆製品を積極的に食べることで、更年期や生理周期による揺れを抑えることはできるはずなんです。

——60代の母が甘酒を豆乳で割って毎日飲んで調子がよくなったと言っていたことを思い出しました。

3歳頃までに決まる腸内環境。いい菌を子どもに贈るために

——腸内環境は3歳までに決まるとのことですが、妊娠中や産後に、子どもの腸内環境を育てるためにできることはあるのでしょうか?

腸内環境は遺伝ではなく、産まれるときのお母さんの菌の状態に影響を受けるんですね。産道を通ってくるときに膣内細菌をパクパクと口に入れる。肛門も近くにあり、それらが最初の腸内細菌になります。なのでデリケートゾーンのケアにも意識を向けるといいかもしれません。膣内を酸性に保っておくと、良い菌が働き膣内を清潔に保ってくれます。

さらに腸と膣は隣り合っていて、常在菌が行き来すると考えられており、腸内環境を整えると、膣内環境も良くなると期待されています。腸内環境を整えることで、いい菌たちを赤ちゃんに贈ることができるのではないでしょうか。

また、産まれてきてからは、母乳をあげる場合、皮膚についているビフィズス菌や乳酸菌といったさまざまな常在菌を取り入れます。かつ母乳はオリゴ糖の塊なので、おっぱいを飲むことで赤ちゃんの腸内にオリゴ糖を餌にしてビフィズス菌が爆発的に増えていくんです。

母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちが黄色でどこかいい匂いがするのは、ビフィズス菌の影響もあると思います。

その後も赤ちゃんは3歳頃までいろんなものを舐め回して菌を自分の中に取り入れて、腸内環境の多様性をつくっていく。なので、あまり除菌をしすぎずに、デリケートゾーンや赤ちゃんが触れる地肌の菌の多様性を保っていけるとよいと思います。

——デリケートゾーンもそうですが、私たちは菌と一緒に生きている。外部から菌を取り入れながら自分の中にいる常在菌を育て、菌の多様性を守っていきたいです。

腸内にどんな菌がいて、どんな食べ物を好んでいるかも人によって異なります。うんちの観察から自分の腸の状態を知って、自分に合った食事や自律神経の整え方を見つけて、試行錯誤と改善を繰り返していく。ぜひ「腸活」に取り組んでみてください!


「ウンログ」うん顧問・中島 規之◎うんち記録アプリ「ウンログ」などを運営する、ウンログの元取締役で現在うん顧問と、大手通信キャリアでヘルスケアサービスの責任者を務める。IBS(過敏性腸症候群)と逆流性食道炎を患い、ウンログを使った腸活で症状をコントロールできるようになった経験を活かし、ヘルスケアや腸内環境に関わる新しいサービスをつくっている。


※この記事は、2023年9月にリリースされた「柿の木便り」からの転載です。

文=徳 瑠里香 イラスト=遠藤光太

ForbesBrandVoice

人気記事