健康

2023.09.18 13:00

便秘や下痢が続く……過敏性腸症候群かも? まずは「うんちの観察」を

健康の知識は、自分の体を知る「セルフ・アウェアネス」があってこそ活きる

——IBSという病気を初めて知りました。原因がわからないと改善もできないですよね。病気がわかってから、どんな治療をしたのでしょう?

あまり知られてないんですが、IBSの推定患者数は1200万人、10人に1人と言われているんですよ。IBSの治療は、おならや下痢の原因となる食事を控える、「低フォドマップ」という食事療法が一つの選択肢になります。フォドマップとは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、小麦やさつまいも、ヨーグルトなども含まれます。

人によって何が体に合わないかは異なるんですが、僕の場合は、小麦を食べると下痢になりやすいことがわかりました。だから素うどんしか食べていなかったときも下痢を繰り返していたんですね。

下痢を引き起こす原因がわかったので、小麦を控えて、腸にいい食生活を意識することで、体調のコントロールができるようになりました。あとは、溜まってしまったストレスを発散するため、サウナや瞑想、ランニングや散歩などを取り入れています。

IBSは、ストレスで悪化することが多いですが、現代社会で生活するうえでストレスは防ぎようがないので、どう発散するかを考えました。

——ご自身の体に合った食事療法とストレス発散方法を見つけて、実践されていったのですね。

まさに。腸活含め健康維持法の知識は世にたくさん溢れているけど「やり方」だけ覚えても、それが自分に合っているかどうかはわかりません。僕もなんとなく“素うどんは腸に優しいだろう”と思い込んでいたけど、それが下痢の原因だったわけですから。

まずは、自分の心身や生活に目を向けて、セルフ・アウェアネス(自己認識)を高める。そして試行錯誤を重ねて生活の質を向上させながら、自分に合った健康維持法を見つけていく。自分の体を守れるのは自分しかいない、ということを身をもって体感しました。

ヘルス・リテラシー(健康に関する情報を理解して活かす力)は、セルフ・アウェアネスがあってこそ。自分を知ってはじめて、知識や情報が活かされるのだと思っています。

「うんちの観察」は、腸内環境を知る最強のツール

——上澄みの知識で改善策を闇雲に取り入れる前に、まずは「自分を知ること」が大事。腸活をする大前提は「自分の腸内環境を知る」、そのスタートラインに立つのが「うんちの観察」になるのでしょうか?

おっしゃる通り!「うんちの観察」は、自分の腸内環境を知るための最強のツールです。毎日うんちを観察することで、自分の腸内環境の変化がわかる。うんちは健康のバロメーターでもあるんですね。

僕も長年なんとなく下痢をしているなあと思っていたけど、うんちの記録をつけるようになって、飲み会が続いたからだ、肉ばかり食べたからだ、と下痢をしたときの生活の傾向がわかるようになった。

うんちを観察することで、自分の状態に気づき、セルフアウェアネスが高まる。意識が向けば、原因と改善策が見えてくるんですね。だから、うんちを観察すれば腸は改善します。
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文=徳 瑠里香 イラスト=遠藤光太

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