アート

2023.10.01

京都で「五感が開く」体験を ボーダレスな音楽フェスが始動

(C)KYOTOPHONIE|photo by Yoshikazu Inoue

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?

未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol.54配信のゲストは、前回に引き続きKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 共同ディレクター 仲西祐介。開催11回目を終え、京都国際写真祭から才能あるアーティストが世界に羽ばたきはじめた。次に彼らがてがけたのは、世界のさまざまな音楽を紹介する国際的ボーダレスミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE(キョウトフォニー)」だ。

中道:KYOTOGRAPHIE共同ディレクターの仲西祐介さんをお迎えしています。立ち上げから11年経った写真祭では、光が当たっていない才能あるアーティストに光をあてていくというミッションが実現し始めているというお話をうかがいました。

今年は新しいプロジェクトである国際的なボーダレスミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE」を始められています。この構想は昔からあったのですか。

仲西:KYOTOGRAPHIE共同ディレクターのルシール・レイボーズは写真家で、サリフ・ケイタなどのアフリカのミュージシャンや、ブルーノートやヴァーヴなどジャズレーベルのジャケットを手がけていました。僕もミュージッククリップの照明をやっていて、音楽が好きで。国際写真祭を10年やってきましたが、写真祭ってものすごく静かというか。写真を静かに見て帰ってもらうのでリアクションがほとんどわからない。

そういうなかでパンデミックが起きて、この3年間でミーティングも映画も音楽も、すべてオンラインでやるようになり、「感じる」ことが視覚と信号化された音でしかできなくなって。これでは人間の感覚が失われるんじゃないか、人間はそれで大丈夫なのかなって。

特に、すべてそこで完結してしまっている今の若い人たちが心配になり、もっと五感を開いて、鳥肌が立つような感動を受ける体験を作らないと……と考え、じゃあ音楽祭をやろうと。何から始めていいかもわからないけれど、トライ&エラーでいいからやってみよう、ということでKYOTOPHONIEを始めました。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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