仲西:そこはKYOTOGRAPHIEと同じで、普段はなかなか入れない特別な場所を会場にしました。能楽堂で行ったアフリカとブラジルのアコースティックコンサートでは、みんな総立ちで踊っていました。みんながその瞬間を共有する、貴重な経験をしてもらいたいと思って。
中道:今後は、KYOTOGRAPHIEとKYOTOPHONIEの2本柱でやっていかれるのですか。
仲西:そうですね。一般的に、ある程度の規模のアートフェスティバルは、ビエンナーレやトリエンナーレなど数年おきに開催されるもので、それを毎年実施するのはほぼ不可能に近いことなのです。しかも僕らは完全にインディペンデントで、予算も自分たちですべて集めていています。そこに音楽祭まで始めてしまったので、ルシールも僕も本職の写真や照明をやる余裕がまったくなくなって、1年中走り回っています。
2人だからできているのだと思っています。ルシールの外国人の視点と僕の日本人の視点をかけ合わせて、資金集めも外国企業、日本企業と手分けして集めて。アーティストのピックアップもそうです。違う2つの視点で作っているからこそ国際的なものができているのだと思います。
中道:これからどんな進化をしていくのでしょう。
仲西:写真がフランスで発明されたこともあって、世界の写真界はフランス人が動かしているところがあります。音楽もワールドミュージックは特にフランスがすごい。だからフランス経由で写真や音楽のプログラムを作ると、どうしてもアジアがちょっと抜けてしまう。だから僕ががんばって、アジアのアーティストやミュージシャンを探していかないといけないと思っています。
あとは、世界共通の社会問題や環境問題を一緒に考えて、そこで出たアイデアを国や国際機関が利用していくような流れを作れたらいいなと思っています。
中道:フェスティバルの期間中は展示の他にも、そういうことを考えるトークイベントなども開催されていますよね。
仲西:マスコミが題材にしないような課題についても、みんなで考えていこうと。こういう働きかけは引き続きやっていく予定です。