研究チームは次に血小板第4因子に注目した。他のチームと同様、血小板第4因子を投与するだけで、クロトーを注射したときと同じように認知力と記憶力が改善したのである。とはいえ、血小板第4因子を欠損させたマウスでもクロトーの恩恵を受けたことから、他の血小板因子もタンパク質の治癒能力に関与している可能性が示唆された。今後の研究では、こうした追加的な要因を挙げ、私たちの理解のギャップを埋めることを目指すことになる。
血栓のリスク?
この三拍子揃った研究は非常にエキサイティングなものだが、先走るべきではない。血小板第4因子は天然の血液凝固因子であり、血液を濃くして傷口をふさぎ、負傷部位の出血を止める働きをする。組織修復の重要な要素なのだ。過ぎたるは猶及ばざるが如し。血小板第4因子が過剰になると、負傷の範囲を超えて血液凝固を引き起こす可能性がある。静脈や動脈の内側に血栓ができると、心臓発作や脳卒中などの重大なリスクが生じる。人間で治療的に使用される前には、血小板因子4に基づく任意の介入が、有害な血栓のリスクを増加させないことを確認するための厳格な安全性試験が必要だ。
まとめ
潜在的なリスクはさておき、この新しい研究は、批判的思考や記憶など、認知の健康における血小板第4因子の重要性を説得力のあるものにしている。クロトーの研究は、同様の役割を持つ、まだ知られていない他の血小板因子が存在する可能性も示している。(forbes.com 原文)