欧州

2023.08.28 18:30

押されるロシア軍がたまらず予備投入 失敗なら大損害の「全賭け」に

ロシア空挺軍の第76親衛空挺師団。2020年3月1日、ロシア西部プスコフで=ゲッティ

Tatarigamiが第76親衛空挺師団について「名目上」は予備部隊とわざわざ記しているのは、各数千人規模の3個歩兵連隊を擁するこの師団は実のところ、ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻して以降、大半の期間において前線に配置されてきたからだ。
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第76親衛空挺師団は拡大戦争初期の数週間はウクライナの首都キーウ周辺で戦い、2022年春にはブチャでのウクライナ市民虐殺に関与したと伝えられる。ウクライナ中北部から撤退したあとはT-90、T-72両戦車やBMP-2、BMD両歩兵戦闘車とともに東部に転進した。

半年後の2022年8月、第76親衛空挺師団はウクライナ軍の当時の反攻(現在のものとは別)を食い止めるべく、ウクライナ南部ヘルソン州に一時的に大隊を移した。

第76親衛空挺師団は昨秋、ウクライナ軍がドニプロ川北側(西岸)の大半の地域を解放するのを阻止できなかったものの、ウクライナ軍が1マイル(約1.6キロメートル)進むごとに代償を払わせている。10月下旬、同師団の砲兵部隊は、ドニプロ川の北30キロメートルほどにある集落コストロムカの郊外で、ウクライナ第35海兵旅団の縦隊を壊滅させた。
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ロシア軍がウクライナ南部でウクライナ軍の攻撃を阻むために第76親衛空挺師団を投入するのは、過去1年で2回目になる。これはロシア側にとっては「全賭け」を意味する。前出のTatarigamiは、これによって「ロシア軍の作戦能力が強化される」一方で、失敗すれば「迅速展開に向けて戦闘即応態勢にある予備が決定的に損なわれる」との見方を示す。

米首都ワシントンにある戦争研究所(ISW)は、ロシア軍がある方面で防御をさらに増強しようとすれば、別の方面の防御を犠牲にするだろうと指摘している。「大規模な作戦予備が不足しているために、ロシア軍司令部は横方向の部隊移動を強いられ、前線のどの方面を優先させるべきか決断を迫られるだろう」

つまりこういうことだ。ウクライナ軍が南部で勢いを維持できれば、ロシア軍は南部を守るか、それとも東部を守るかという難しい選択を余儀なくされる。おそらく両方を行うことは不可能だろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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