ウクライナ海軍歩兵隊対ロシア空挺隊、1つの村をめぐる激戦が南部のカギを握る

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ウクライナ海軍歩兵隊は、同国南部の重要なカギを握る村に向かっている。しかし、強硬なロシア空挺師団がその行く手を遮っている。

コストロムカを巡る戦いは、ウクライナ軍がどうやって、いかに早くベリスラヴに進出できるかを決める。そこは、ロシア軍がウクライナのヘルソン州南部東側で最後の抵抗を見せる可能性が最も高い、川沿いの開拓地だ。

先週末ネットに公開された劇的な動画は、ウクライナの第35海軍歩兵旅団とみられる海軍歩兵隊が、ウクライナの穀倉地帯であるヘルソンの戦地に並ぶ狭い森林帯の隠れ場所から出てくる様子を映し出していた。海兵隊は整列して前進し、T-64戦車列を先頭に、歩兵輸送車キルピ、偵察戦闘車(BRDM)らが続いた。

ウクライナ軍の熱意は動画でも明らかであり、理由は想像に難くない。6週間にわたる断固たる戦いの中で、キーウの戦隊はウクライナを横断して前進してきた。ウクライナ軍の熱心な10個の旅団は、ウクライナ北東部ハルキウ州でロシアの脆弱な防衛線を突破し、同州の数千平方キロメートルにわたる地域を、ロシアの占拠者から直ちに解放した。

南部では、ウクライナの3旅団がややゆっくりとした進展を見せている。第17戦車旅団は、ロシア占領下のヘルソン州を西側から精査し、同地区の反対側では、第128山岳旅団が広いドニエプル川沿いを突進し、薄く拡散して疲弊したロシア沿岸防衛旅団を撃破した。

ロシア軍は、ドニエプル川の右岸、ノーバ・カホフカ対岸の都市、ベリスラヴに向かって退却した。ヘルソン州東部のロシア軍が耐えきれない場合、ベリスラヴはドニエプル川を渡り戦場から撤退する最も安全な経路になるかもしれない。

ウクライナの第35海軍歩兵旅団は、インフレツィ川左岸の橋頭堡を出発して南に向かっており、ロシア軍の撤退を早め、場合によってはロシア軍の敗残兵を確保しようとしている。しかし、ダヴィディフ・ブリッド付近にある同旅団の橋頭堡からベリスラヴに向かう主要道路は1つしかなく、コストロムカ周辺には、ロシアで最も生き残りの多い師団の1つが待ち受けている。

ロシアの第76親衛空挺師団(GAAD)は東部で戦っていたが、ウクライナの南部における軍備に驚いたロシア政府は、同師団の5~6大隊をヘルソンに移動した。それらの大隊は、現時点のロシア軍の中で最強かつ最も傷ついていない部隊と思われる。ウクライナ全土に広がっているロシア部隊が、ウクライナ軍の反撃による圧力に粉砕される中、第76親衛空挺師団はその地位を堅持している。
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翻訳=高橋信夫

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