キャリア・教育

2023.08.30 16:30

金沢の女子大生が医療ビッグデータを利活用、健康な高齢者を増やす意外な策とは

北陸大学「チームあいす」のメンバー。左から大岩さん、孫さん、梅野さん、室山さん、リーダーの馬緤さん

北陸大学「チームあいす」のメンバー。左から大岩さん、孫さん、梅野さん、室山さん、リーダーの馬緤さん

2030年には、最大約79万人のIT人材が不足すると言われ、IT人材の育成を急務とする日本。そうした中、5月31日、女子大学生5人がデータクラウドを提供するSnowflake社主催の「Rising 未来のデータサイエンスコンテスト」のアイデア部門で、準優勝に輝いたという明るいニュースが飛び込んできた。

並み居る社会人チームを負かし、学生チームとして唯一の受賞を果たしたのは、北陸大学 田尻慎太郎教授のゼミ生で、「チームあいす」のメンバー、馬緤百優さん、梅野日花里さん、大岩あずささん、孫遜さん、室山桃子さんだ。北陸大学では、2022年度から「データサイエンス・AI教育プログラム」をスタートさせ、データ分析を地域や職場で生かすことができる次世代の人材育成に注力してきた。今回はそんな同校の取り組みを象徴する存在である彼女達が、栄冠を手にするまでの軌跡を追った。

テーマは、健康な高齢者を増やすこと

「Rising 未来のデータサイエンスコンテスト」は、新たなデータサイエンティストの育成などを目的として開催。参加者は、民間企業7社が提供したデータを組み合わせて分析を実施し、データ利活用のアイデアやビジネスプランを提案した。

大会カテゴリーは、データサイエンス未経験者と学生が対象の「アイデア部門」、データサイエンス経験者と学生が対象の「データサイエンス部門」の2つ。計29組、450人超が応募し、ファイナリストにはアイデア部門から2組、データサイエンス部門から3組が選ばれ、都内の会場でプレゼンテーションを行った。

北陸大学の田尻ゼミからは、8組が応募。コンテストの課題は、日本が抱える「少子高齢化が引き起こす2030年問題」「生産年齢人口の減少にともなうGDPの低下」「日本の国際競争力の低下」の3つ。少子高齢化が進む日本では、現在の3人の現役世代が1人の高齢者を支える「騎馬戦型社会」から、2050年には1人の高齢者を1人の現役世代が支える「肩車型社会」になると予想されている。そうした背景から「チームあいす」は、課題の中から「少子高齢化が引き起こす2030年問題」を選んだ。

課題選定後、チームがテーマを決めるためにデータを分析していると、メディカル・データ・ビジョンの医療機関受診動態データから、食生活が原因となり得る生活習慣病の高血圧性疾患や糖尿病、脳血管疾患、過剰摂食の患者数が多いことを発見。自分たち学生が将来、高齢者を支える一員であるという考えから、「健康な高齢者を増やすこと」をテーマとした。

そして、チームは地域・年代ごとに不足している栄養素を明らかにし、食事を改善することで、生活習慣病患者を減らせるのではないかという仮説を立案。全国の消費者購買データ(SCI)から、対象地域における「1. 健康関連商品の売上」と「2. 五大栄養素(※1)ごとの売上」を分析した(※2)

※1 五大栄養素:たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル
※2 ビタミン、ミネラルは多く摂取してよい栄養素、たんぱく質、脂質、糖質は摂りすぎるとよくない栄養素として分類
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文=汲田 玲未衣

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