キャリア・教育

2023.08.30 16:30

金沢の女子大生が医療ビッグデータを利活用、健康な高齢者を増やす意外な策とは

北陸大学「チームあいす」のメンバー。左から大岩さん、孫さん、梅野さん、室山さん、リーダーの馬緤さん

「1. 健康関連商品の売上」については、商品名から健康を意識していると分かるものを健康関連商品として分類し、売上を分析。その結果、女性やミドル世代(30~50代)、都市部で売れていることが分かった。一方の「2. 五大栄養素ごとの売上」については、例えば糖質、タンパク質を含む商品の購入量が多いなど、対象の10都府県すべてにおいてバランスよく五大栄養素を購入できていないことが分かった。
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チームはそれらの分析結果から、対象地域共通の課題として、栄養バランスの偏りや男性・地方居住者の健康意識の低さを指摘。生活習慣病患者を減らす具体策として、スーパーやコンビニエンスストアの店内に地域ごとの総合評価を掲示し、店舗を訪れた人々に食生活改善を促す注意喚起を行うことを提案した。
ファイナリスト発表会でプレゼンする馬緤さん

ファイナリスト発表会でプレゼンする馬緤さん

データ分析は特殊スキルではない。社会人必携

「北陸大学データサイエンス・AI教育プログラム」では、入学後すぐに全員が必修科目の「情報リテラシー」を受講し、データ分析スキルを身につける。そして次に、「統計学入門科目」を履修する。

同科目では、BI(※3)に特化したデータの視覚化ツール「Tableau」や「Exploratory」のようなノーコードの分析ツールをメインに扱うことで、プログラミングの知識がなくても分析に取りかかることができる。そのため、学生は文理系に関わらず、楽しくデータの本質に迫ることができる。責任者を務めるのは、今回受賞した「チームあいす」をゼミで指導する田尻教授だ。

「データ分析は専門家だけの特殊な能力ではなく、社会人として必要なごく当たり前のリテラシーであることを、学生に理解してもらいたいですね。地方には、まだExcelで全てを処理している中小企業も多いようです。大学で学んだスキルを生かし、職場でDXや業務改善を推進する人材になってほしいです」(田尻教授)
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※3 ビジネスインテリジェンス=ビジネスにおけるデータの分析や活用

北陸大学 田尻 慎太郎教授

北陸大学 田尻 慎太郎教授

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文=汲田 玲未衣

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