未来のデータサイエンティストが描くビジョン
「チームあいす」でリーダーを務める馬緤さんは2021年、経営学やマーケティングを学ぶために、北陸大学の経済経営学部へ入学。同校で、「データサイエンス・AI教育プログラム」がスタートした2022年、2年次の授業でデータ可視化ツールのTableauに出会った。授業の一環として開催された「Tableau分析コンペティション」に出場し、大学売店の2019年度と2021年度の売上を分析。結果、コロナ禍で売上が約23%減少し、特に食品の落ち込みが顕著だと分かった。課題はそこまでだったが、馬緤さんは満足しなかった。馬緤さんはさらに、「自炊をする人が増えたのではないか」「人混みを避けるために、売店利用者が減ったのではないか」という仮説を立て、「野菜、調味料などの料理の材料を売る」「売店限定のポイント制度を導入し、リピート率を増やす」などといった具体的な改善策を提案。それが高く評価され、251人の中から最優秀賞に選ばれた。
その後、馬緤さんは田尻教授の誘いを受けて、3年生の先輩らとともに、野村総合研究所主催の「マーケティング分析コンテスト2022」に挑戦。しかし、途中で断念することになり、データ分析スキルの不足を痛感した。その悔しさをバネに、今度はTableauユーザーの有志が開催する学生向けコンテスト、「Tableau 企業分析AWARD2022」に同級生の友人らと出場。世界最大手の民泊仲介サービス、Airbnbの東京23区内での売上を分析し、3位入賞を果たした。
そして3年次のゼミ選択時、すっかりデータ分析の魅力に取り憑かれていた馬緤さんは、迷わず田尻ゼミの門を叩いた。今回、ゼミの門下生として出場したコンテストでの受賞を受けて、大学からは学食の100円優待券をお祝いとしてもらい、チームのみんなでランチを楽しんだという。
馬緤さんは大会を振り返り、「医療データを扱うのは初めてでしたが、疾患の患者数に地域差が出ていることが分かり、地域ごとに異なる予防法を提案するのも面白いと思いました。社会に出ても通用するような、もっと具体的で魅力的な提案をしたいです」と意欲を見せた。
他にも、馬緤さんほか「チームあいす」のメンバーは田尻ゼミの活動で、地域の企業・団体と協力し、プロジェクトを進めている。奥能登の珠洲市で9月23日から開かれる「奥能登国際芸術祭2023」は、今年で3回目の開催となるが、これまで実施した来場者などを対象としたアンケートでは、単一での集計しか行っていなかった。しかし今回、プロジェクトではそれをTableauを用いて2つ以上の設問を掛け合わせ、クロス集計を実施。結果を踏まえて、企画の提案を行う予定だ。
データ分析のスキルを用いた活動で、地域に貢献する。馬緤さんを始め、北陸大学の未来のデータサイエンティスト達が、どのように社会を便利にしていくのか、これからも活躍に期待したい。