スウェーデンから今年ウクライナに供与された装甲車両は、同旅団がもっぱら運用しているが、スウェーデン供与の車両──CV90歩兵戦闘車(IFV)50両、Strv122戦車10両、アーチャー自走榴弾砲8両、Bgbv90装甲回収車(ARV)少なくとも1両──だけでは、2000人規模の部隊の装備としてはとても足りない。
ウクライナ軍の機械化旅団は通常、IFVを各30両保有する3個大隊、戦車30両を保有する1個完全大隊、大砲二十数門を保有する1個砲兵大隊が置かれる。これらの大隊にスウェーデン供与の車両以外にどんな車両が配備されているのか、実態は不明だった。
それがようやく判明したようである。7月30日にネット上に出回った動画には、CV90とBgbv90のほかに、ポーランド製の8輪式KTOロソマク歩兵戦闘車2両が走行している様子が映っていた。
ポーランド政府が4月にウクライナへのロソマク200両の供与を発表して以来、ロソマクがウクライナで確認されたのは初めてだ。第21機械化旅団はスウェーデンから供与された車両を、ポーランドから調達した車両で補完している可能性がある。
第21機械化旅団にとって、ロソマクは良い選択だ。500馬力のディーゼルエンジンを積むロソマクは最高時速約100kmと高い機動力を誇り、30mm機関砲という強力な火砲も擁する。ちなみにこれは米陸軍が欧州で運用するストライカー装甲車についている機関砲と同じものだ。
ロソマクは乗員3人、歩兵の定員8人で、重量25トン。強いて欠点を挙げれば、ポーランド軍が当初、自軍向けに水陸両用能力を求めたために、防御力が低下していることかもしれない。短い距離ならゆっくり水上航行できる程度に軽量化がはかられているが、その分、装甲防御力が犠牲になっている。
現在ウクライナで行われているような大規模な戦争では、普通の軍隊ならまず浮揚能力よりも装甲が欲しいところだろう。製造元のロソマク社もそうしたニーズに配慮して、後付けの装甲キットを開発している(ただ、装着すると水上航行は不可能になる)。
ロソマクはすでに戦闘に参加しているかもしれないし、まだだとしてもその日は近いだろう。第21機械化旅団は現在、東部ルハンスク州クレミンナの西方で、ウクライナの反転攻勢に対するロシアの反撃を迎え撃つ任務に就いており、すでに少なくともCV90を1両失っている。
(forbes.com 原文)