乗員4名、重量62トンのStrv122は、タングステンやセラミックを使った装甲に120ミリ滑腔砲、ハイテク射撃統制を備える。いつウクライナの戦場に現れるか軍事ウォッチャーたちが注目するなか、赤外線やレーダーで検知されにくくする迷彩ネットをまとった姿でようやく登場した。
今週、北大西洋条約機構(NATO)加盟のめどが立ったスウェーデンは1月から2月にかけて、主力戦車であるStrv122を10両のほか、強力な40ミリ機関砲を搭載した歩兵戦闘車「CV90」50両、155ミリ「アーチャー自走榴弾砲」8両などをウクライナに供与すると発表していた。これらを含め、スウェーデンによるウクライナへの軍事支援の総額は15億ドル(約2100億円)ほどにのぼる。
スウェーデンから引き渡された車両は、ウクライナ陸軍で新たに編成された第21機械化旅団の戦車中隊、機械化大隊、砲兵隊に配備されたもようだ。もちろん、よほど規模の小さい旅団でないかぎり、ほかの車両も多数保有しているだろう。
第21機械化旅団は今春、スウェーデンで訓練を受けていた。その後、ウクライナ軍が6月4日に満を持して南部と東部で始めた反転攻勢の直前、もしくはそれと同じごろにウクライナに再配置された。
反攻開始から7週目に入るなか、ウクライナ軍の各旅団は、ヘルソン市の南、ザポリージャ州ロボチネ方面、ドネツク州のモクリ・ヤリー川沿い、ドンバス地方のバフムトの南など、いくつかの攻撃軸に沿って数キロメートル前進している。
奇妙なのは、ウクライナ軍の保有車両としては最高の部類に入るStrv122などを擁する第21機械化旅団が、どうやらこれらの主要な攻撃軸には投入されていないという点だ。この旅団は、ロシア軍が占拠する東部ルハンスク州クレミンナの西に位置す主要な接触線に向けて、じわじわと進んでいる。