欧州

2023.07.26 09:00

ロシア軍も反攻、ウクライナ北東部でM-55S戦車撃破

安井克至
ウクライナ軍南部司令部に属している第47旅団は、これらの古い戦車を東部司令部に渡したようだ。それは8週間前、待望の南部での反攻開始を翌日に控えていた夜には理に適っていたかもしれない。当時、ウクライナ北東部は比較的静かだった。

7月になって状況は一変した。ロシア軍はウクライナ軍が南部と東部バフムート周辺に重点を置いていることを逆手にとって北東部を攻撃した。

ロシア軍はそれほど進軍していない。だが、ウクライナ軍も主要な攻勢軸に沿って攻め込めていない。どちらも守勢に回ると予想される区間沿いに陣地を固めている。攻撃する軍は、近くに塹壕や掩体(えんたい)壕がある地雷原を横切らなければならない。

これは困難だ。第100旅団のウクライナ国防軍は先週、近くに展開している第67機械化旅団のおそらくT72戦車の支援を受けながら、クレミンナ西方の森でロシア軍の攻撃を撃退したようだ。

M-55Sはクレミンナ前線のどこにいるのか。1両が初めてロシア軍の砲撃の餌食になったが、戦線を維持できたのか。正確なところはわからない。

ウクライナ軍の反攻、その反攻に対するロシア軍の反攻もまだ始まったばかりだ。「東部ではウクライナ軍がバフムートの戦いで主導権を握っている」とオーストラリア軍退役少将のミック・ライアンはツイートした。「だがロシア軍はクレミンナ・スバトベ軸で攻撃している」とも指摘した。

全体的には、ライアンはウクライナ軍の優勢を確信している。「作戦レベルではウクライナ軍が主導権を握っており、予備の戦闘部隊も有している」と説明する。

しかし、その予備兵力にはもはや第47旅団のM-55Sは含まれていない。同旅団はM-55Sが当面、大規模な戦闘に使われないことを願っていたかもしれない。だが、ロシア軍はウクライナ軍の裏をかいた。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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