7月になって状況は一変した。ロシア軍はウクライナ軍が南部と東部バフムート周辺に重点を置いていることを逆手にとって北東部を攻撃した。
ロシア軍はそれほど進軍していない。だが、ウクライナ軍も主要な攻勢軸に沿って攻め込めていない。どちらも守勢に回ると予想される区間沿いに陣地を固めている。攻撃する軍は、近くに塹壕や掩体(えんたい)壕がある地雷原を横切らなければならない。
これは困難だ。第100旅団のウクライナ国防軍は先週、近くに展開している第67機械化旅団のおそらくT72戦車の支援を受けながら、クレミンナ西方の森でロシア軍の攻撃を撃退したようだ。
M-55Sはクレミンナ前線のどこにいるのか。1両が初めてロシア軍の砲撃の餌食になったが、戦線を維持できたのか。正確なところはわからない。
ウクライナ軍の反攻、その反攻に対するロシア軍の反攻もまだ始まったばかりだ。「東部ではウクライナ軍がバフムートの戦いで主導権を握っている」とオーストラリア軍退役少将のミック・ライアンはツイートした。「だがロシア軍はクレミンナ・スバトベ軸で攻撃している」とも指摘した。
全体的には、ライアンはウクライナ軍の優勢を確信している。「作戦レベルではウクライナ軍が主導権を握っており、予備の戦闘部隊も有している」と説明する。
しかし、その予備兵力にはもはや第47旅団のM-55Sは含まれていない。同旅団はM-55Sが当面、大規模な戦闘に使われないことを願っていたかもしれない。だが、ロシア軍はウクライナ軍の裏をかいた。
(forbes.com 原文)