健康

2023.07.03

「ペットのウェルビーイング」実現に向けて

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コロナ禍は、「ペットとの暮らし」を加速させました。未曾有のパンデミックで不安やストレスがたまり、ペットに癒しを求める人が増えたのではないかという分析も報告されています。

私自身もこの3年にも及んだコロナ禍の生活の中で、どれだけ2頭の愛犬に癒されたことかわかりません。毎日の散歩がいい気分転換であり、運動不足の解消にも貢献してくれましたし、長く続いたリモートワークでの孤独感や不安感も、無邪気に犬たちと戯れることで紛らわせることが出来ました。

これまでペットを迎えたくても仕事に追われる日々で諦めていたのが、在宅勤務になったことでようやく新しい家族を迎えることが出来たという人も数多くいるでしょう。

 一般社団法人「ペットフード協会」が発表している全国犬猫飼育実態調査によると、2022年の日本の犬の飼育数は約705万頭で、新規飼育頭数は過去10年間で最多の42万6000頭となりました。

ペット医療の質向上へ

環境省によると、民間資格の動物看護師は全国に約3万人いますが、獣医療行為を行うことは一切許されていません。しかし近年、長寿化に伴って心臓や腎臓などに慢性疾患を抱えるペットが増加し、高度な獣医療を求められる獣医師の負担が増しています。

そこで政府は、看護の質向上や獣医師の負担軽減を目的に、2019年成立の愛玩動物看護師法で、獣医師を補助して獣医療行為の一部を担う新たな国家資格「愛玩動物看護師」の導入を決定。今年4月に第1回国家試験の合格者1万8481名が誕生し、活躍しはじめています。
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愛玩動物看護師は犬猫のほか、インコやカナリアなどの鳥に対し、獣医師の指示のもと、輸液剤の注射、採血、マイクロチップの挿入などを行うことができます。一方、入院動物の世話や診断を伴わない検査は看護師資格がなくても行っていいとのことです。

「ペットとの暮らし」の癒しとは

私たちが人と触れ合うとき、精神を安定させてリラックスする効果があることで知られるホルモン「オキシトシン」が脳内で分泌されます。それが、プラスの感情や喜びを呼び起こすのですが、これは動物との触れ合いでも同様に起こるといわれています。

またペットと触れ合うと、イライラやストレス、疲労感を軽減する作用を持ち、癒し効果が認められている神経伝達物質「セロトニン」や「フェニルエチルアミン」といったホルモンも分泌されるため、犬と暮らす人は孤独感が軽減され、心身の健康にも良い影響があることがさまざまな研究によってわかっています。
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文=藤田康人

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