そこから約1年、飼い主たちはペットのマイクロチップ装着をどのように捉えているのだろうか。ペット保険を提供するペットメディカルサポートは4月26日〜5月2日、同社が提供する「PS保険」の契約者である飼い主440名を対象に、調査を行った。
業者によるマイクロチップ装着義務化を知っているかを尋ねたところ、「はい」と回答したのは犬の飼い主で89%、猫の飼い主で82%に。昨年(2022年)、法改正直前の5月に行った調査結果を、いずれも11ポイント上回った。
他方、すでに犬・猫を飼っている人や譲り受ける人は、マイクロチップの装着が努力義務となっていることを知っているかを聞くと、「はい」と回答したのは犬の飼い主で88%、猫の飼い主で78%。こちらも共に、昨年から約10ポイント上昇した。
さらに、ペットのマイクロチップ装着の状況を聞いたところ、「装着している」と回答としたのは犬の場合76%、猫の場合は43%。マイクロチップ装着のきっかけとして最も多かった回答は、犬猫の飼い主共に「業者が装着していた」で、大半(犬87%、猫73%)を占めた。
続けてマイクロチップ装着の賛否については、犬の飼い主では賛成派が計86%に。昨年は「賛成」「どちらかというと賛成」いずれも42%だったが、法改正から1年を経て、「賛成」(46%)が「どちらかというと賛成」(40%)を上回った。猫の飼い主でも賛成派が計86%に上ったものの、「どちらかというと賛成」(53%)が「賛成」(33%)より20ポイント高く、昨年とほぼ同様(それぞれ53%、34%)の傾向が見られた。
装着に賛成する理由については、最多が「迷子になったペットを探すのに役に立つ」(犬82%、猫83%)、次いで「確実な身分証明になる」(犬70%、猫74%)、「ペットの遺棄を減らせる」(共に48%)、「盗難時に自分が飼い主だと証明できる」(犬48%、猫43%)の順番に。反対する理由で最も多かったのは「異物を体内に埋め込むことが心配」(犬72%、猫70%)で、「ペットがかわいそう」(犬53%、猫45%)が続き、ペットを労わる意見が上位に並んだ。
最後に、ペットにマイクロチップを装着していない犬と猫の飼い主に今後の装着予定を尋ねると、犬の飼い主では「予定なし」が53%、「悩んでいる」が44%となり、「予定あり」はわずか3%。一方、猫の飼い主では「予定なし」が51%、「悩んでいる」が43%で、「予定あり」は6%だった。
法改正以来、より多くの飼い主がペットのマイクロチップ装着に関心を持ち、理解を深めていることが分かったものの、自らの決断でマイクロチップ装着を進めることには、あまり積極的ではない姿勢が伺えた。
マイクロチップは直径1~2mm、長さ1cm程度の円筒形をしている。日本獣医師会はホームページでマイクロチップについて、「装着時の痛みは普通の注射と同じくらいと言われており、通常は鎮痛や麻酔など特別な処置は行いません」と説明。さらに日本国内では、動物の体内に装着したマイクロチップの副作用、ショック症状等についての報告は寄せられていないことにも触れている。装着費用は、数千円から1万円くらいが一般的だという。
もしペットが迷子になった時や地震をはじめとする災害時、盗難などによって飼い主の元から離れてしまった場合でも、マイクロチップを装着しておけば、そこに記録された個体識別番号をデータベースに照会することで、飼い主が分かる。
ペットのマイクロチップ装着をためらう飼い主は少なくない。しかし、かけがえのないペットだからこそ、非常時に確実な絆となるマイクロチップ装着の重要性は明らかだろう。
参考)日本獣医師会|マイクロチップを用いた動物の個体識別
http://nichiju.lin.gr.jp/aigo/index.html
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