居酒屋の倒産急増 公的支援終了で資金繰り苦しく

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新型コロナウィルスの5類移行や行動制限が無くなったことなどを背景に、酒類業界は急速な回復傾向にある。5月12日には、酒類大手4社(※)の2023年12月期(予想)の連結売上高が、いずれも前年同期比で増収となる見通しが明らかになった。

そうして酒類業界が活気を取り戻す一方で、居酒屋の倒産が「コロナ禍超え」のペースで急増しているという。帝国データバンクは6月7日、居酒屋の倒産発生状況について調査・分析した結果を発表した。同社によると、2023年1月〜5月までに1000万円以上の負債を抱えた居酒屋の倒産は、全国で88件発生。

前年(2022年)から4割増のハイペースで、コロナ禍で大打撃を受けた2020年の同時期を上回る。このまま行けば、2023年の居酒屋倒産件数は2020年の累計(189件)を超え、過去最多となる可能性がある。

2023年に起きた居酒屋倒産の特徴は、零細規模で増加している点だ。資本金100万円未満の倒産が、全体の約半数を占める。居酒屋はコロナ禍で営業時間の短縮や酒類の提供制限など、厳しい経営を強いられる一方で、救済措置として時短協力金や補償金、雇用調整助成金などの手厚い公的支援を受けてきた。

同社は、「コロナ禍以降の本業不振から抜け出せない状況のなかで、頼みの綱だった時短協力金など公的支援が相次いで打ち切られたことで資金繰りに行き詰まり、事業継続を断念したケースが、個人経営などの零細居酒屋を中心に水面下で多く発生したと見られる」と分析。

2023年に入り、コロナ禍の沈静化に伴って居酒屋への客足は戻りつつある。しかしコロナ禍で広がった家飲みの影響や相次ぐ食料品の値上げ、電気代などの店舗運営コストの急騰から、利益率が良くないという声も聞こえてくる。居酒屋受難の時代は、まだ続いている。

※サントリーホールディングス、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サッポロホールディングス

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Forbes JAPAN Web編集部

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