作品選びの基準は「同時代性」
深井:メガギャラリーともなると、当然、アンディ・ウォーホルのような有名どころの作家も多く取り扱っています。そういった、いわゆるビッグネームからは入らなかったんですね。植島:インスタグラムで直感的に作品の写真を見ることからスタートしたので、そもそも作家の名前から入ることがなかったんです。当時は、良いなと思う作品があったとして、それを作った人が若いのか、年配の方なのか、また高額なのか手頃なのかといった価格帯も分からない。ただ、自分の感性で良いと思ったものをセレクトしました。
また、私はコレクションをするにあたり、「同時代性」というコンセプトを重要な軸としています。つまり存命で、今現在の時代性を肌で感じながら制作をしているアーティストの作品を中心にコレクションを構築したい。もちろん過去の作品を購入することもありますが、迷ったときにはより新しい時代の作品を選びます。
深井:同時代性というテーマには、どのような思いから辿り着いたのでしょう?
植島:毎週のようにギャラリーに足を運び、担当者やアーティストと話をするうちに、作品に込められた時間、労力、思考、エネルギーを作家本人から直に感じることが、非常に意義のある体験になると知ったためです。
国際芸術祭「あいち2022」では、参加作家のシアスター・ゲイツとの出会いもありました。食事を共にしながら、彼がブラック・アイデンティティをベースとし、コミュニティの活性化を目指したプロジェクトに取り組んでいることや、「あいち2022」出品作の背景、彼がアートを通じて社会に伝えたい思いなどを聞き、すごく感動しました。加えて、そういった作品をコレクションすることで、彼らアーティストの活動をサポートすることができるというのも、大きな意味があると思いました。
また、コレクションした作品を僕のインスタグラムで共有することで、アーティスト本人から反応をもらうこともあれば、アートフェアなどで再会して会話が弾むことも。同時代に生きるアーティストとは、国境を超えてそうした交流ができる楽しさがあります。