採用プロセスが長期化
イリノイ州の人材あっせん企業Robert Half(ロバート・ハーフ)の地域責任者ミシェル・ライスドーフはWSJ紙に対し、雇用主は採用について「非常に慎重」になっていると述べている。大離職時代の頃は早急な増員が必要だったが、採用担当者は現在、面接をゆっくりと進め、候補者を徹底的に審査している。また、人材が不足していた頃は、採用基準がそれほど厳しくなかったが、いまはハードルが上がっている。当然のことだが雇用主は、人件費がより高いホワイトカラー労働者の採用判断について、より慎重になっている。
ロバート・ハーフのデータによると、ホワイトカラー労働者の採用に要する期間は、平均11週間だ。2021年には平均で7週間だった。
ライスドーフが人材採用に携わるようになって20年以上経つが、企業側が採用プロセスでこれほど慎重になることはいままで一度もなかったと述べている。
給与が下がる転職
労働市場で逆風が吹いているため、経済の先行きが不透明であるにもかかわらず、労働者は給与の低い仕事でも進んで受け入れている。ITコンサルティング企業Blind(ブラインド)が実施した最新調査では「給与水準が現在と同じか、それより低い場合でも、新しい仕事を受け入れるつもりがある」と回答したテック系労働者は56%に上る。また、その理由として「労働市場の現状」を挙げた人は33%だった。さらに、ブラインドの調査では、すでに十分な給与を得ているテック企業の従業員は、給与が下がる仕事を受け入れる可能性が高いことがわかった。たとえば、年収10万ドル(約1400万円)以上の回答者の場合、62%が「転職において、いまより低い給与を受け入れる」と回答している。
テック企業で働く労働者が、給与の高さを重視していた以前とは大違いだ。
ホワイトカラー労働者は何をすべきか
問題は多いが、ホワイトカラー労働者が現在の仕事を失わないためにできることは多々ある。肝心なのは、自分の専門分野における最新動向を常にチェックすることだ。そうすれば、後れをとることなく、労働市場で求められる価値を維持できる。また、問題解決や批判的思考、コミュニケーションといったスキルを磨くことも重要だ。職場ではこうしたスキルの重要性がますます高まっており、プロフェショナルとして一歩抜きん出るのに役立つ。
採用してもらうためにはときには給与や希望職種について妥協しなければならない。現在より低い給与でも受け入れたり、リモートではなく毎日会社に出勤したりしなければならないこともあるだろう。
現在の仕事を手放したくないなら、職場で不可欠な存在になることが必要だ。そうすれば、人員削減が実施されても、クビを切られずに済むかもしれない。
ホワイトカラー労働者は、変化にうまく対応できるよう準備を整えておくべきだ。労働市場は絶えず変化している。ナレッジワーカーが仕事で成果を出して生活費を得続けるためには、その変化に対応できなくてはならない。
(forbes.com 原文)