「ダイナミック」な公教育の変革
広島県教育委員会は、内申書をほぼなくしてしまう高校入試改革や、公立初のイエナプラン教育校、国際バカロレア認定校の開校、商業高校での「ビジネス探究プログラム」、県内の一部小学校、中学校などで不登校や特別な支援が必要な生徒を支援する「SSR(スペシャルサポートルーム)」の設置や教育支援センターの設置など挑戦を続けている。
POINT 平川理恵・広島県教育委員会教育長によるリーダーシップのもとに、学校教育の選択肢を増やすなど、さまざまなかたちで、教育変革についてチャレンジし続ける教育委員会だ。
下呂市中学校長会
全中学校「生徒4時半下校」を
岐阜県下呂市の中学校長会では、2021年度からの議論を経て、教員の働き方改革を進めるべく、同市の全6中学校で生徒の最終下校時間を4時半に前倒しに。部活の時間を減らさぬように6限の授業をやめ、その分の授業は行事のやり方を見直した。導入後、教員の超過勤務が大幅に減少するなどの成果も。自治体内の学校が一斉に取り組むことは珍しい。
POINT 校長会が主導して全校で「4時半下校」を実践した点がユニークだ。教員の働き方改革が言われて久しいが、そのなかでも特異な方式で実装しており、新しい教育改革のあり方だ。
戸田市教育委員会
全方位、先進的、独自の教育改革
埼玉県戸田市教育委員会は、中央教育審議会をはじめ、さまざまな政府委員を務める戸ヶ崎勤教育長が主導し、約70にものぼる産官学民との連携による「戸田市SEEP(Subject、EdTech、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)、PBL)プロジェクト」をはじめ、全方位的に、先進的、かつ、独自の教育改革を行ってきた。2019年には教育政策シンクタンクも発足。
POINT 「教育改革」について言わずもがなの常連・教育委員会。産官学民連携による「SEEP」プロジェクトをはじめ、戸ヶ崎教育長をはじめとする教育委員会の教育改革を実装する手腕が秀逸。
新潟市教育委員会
「子どものウェルビーイング」創意工夫
新潟市教育委員会は、子どものウェルビーイング、ICT教育の取り組みで知られる。例えば、同市は、政令指定都市のなかで、小中高校、特別支援学校でのいじめの認知件数割合が最も多い自治体だが、背景には認知件数が上がる工夫をしており、子どものウェルビーイングに向けた取り組みを象徴している。また、小中学校の先生向けの支援も含め、ICT活用も積極的だ。
POINT 子どものウェルビーイングに関する指標にて、全国で常にトップクラスを誇る優等生自治体だ。政令指定都市のなかで、不登校支援により長期欠席児童生徒の割合が最も少ないなど実績もある。
プロジェクト
WWL Advanced Learning Network(拠点校・立命館宇治高等学校)
「グローバル人材育成」エコシステム
文部科学省の事業、イノベーティブなグローバル人材を育成するための「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」を、立命館宇治高等学校が引き継ぐ形で継続。高等学校と大学、企業、国際機関などが連携し、高校生へ高度な学びを提供するため、国内外の事業連携校で構築するネットワークで、人材育成のエコシステム構築を目指す。
POINT 文科省によるWWL事業の終了後も、高校の枠を超えて、ネットワークと活動が自主的に継続され、有機的なつながりを生み、生徒にグローバルな学びを提供している点が素晴らしい。