教育

2023.04.27 12:00

選出! 子どもたちのウェルビーイングを実現する変革者たち30

大阪市立田島南小中一貫校
「生きる教育」授業

大阪市にある田島南小中一貫校では、同校に統合された生野南小学校で実践されてきた「生きる教育」が引き継がれ発展している。「生きる教育」として「子どもの権利」を学ぶ取り組みだ。同教育には、虐待予防教育、治療的教育、障害理解教育、中学校の「生・性教育」という柱とそれを支える「国語科教育」が並行したカリキュラムで、子どもの権利の学習を行う。

POINT 小中一貫のカリキュラムのなかで、子どもの権利に加え、個性を認め合うことや、愛着障害や児童虐待をテーマにしながら、子ども自身が「幸せに生きる」ための教育が行われている。

小樽市立朝里中学校
子どもと教員のウェルビーイング

小樽市立朝里中学校は、「シンプル文化祭」など、コロナ禍で文化祭をはじめとした行事を子どもたちが満足感を味わうための工夫とシンプル化を行い、教員の働き方改革も実践。そして、先生たちの職場をフラットにし、「チャレンジする若手、それを支えるベテラン」という構図で、数学の定期テストからの脱退などといった成果も出した。教員も挑戦する姿を見せてきた。

POINT 長時間労働の解消など教員の働き方変革が急務ななか、「本質とは何か」を考えて「とにかくシンプルにする」など元校長の森万喜子の実践が、若手を中心とした学校づくりにもつながっている。

聖徳学園中学・高等学校

「グローバル×STEAM教育」

東京都武蔵野市にある聖徳学園中学・高等学校は1927年設立。「個性」「国際性」「創造性」を教育方針とし、現在は「STEAM教育」と「グローバル教育」に力を入れている。18年度からはICTを用いたSTEAM学習に取り組む。国際協力プロジェクトから映画づくりなど、出された課題をこなすのではなく、「作品」へと変わる学びなど、次世代教育を行っている。

POINT 「課題」をこなすのではなく「作品」をつくりだすクリエイティブな学びを行う先進的でユニークなSTEAM教育を行なっている。24年からはデータサイエンスコースも開設する。

ドルトン東京学園中等部・高等部
先進的な「学習者中心の教育」

東京都調布市にあるドルトン東京学園中等部・高等部は、2019年度に開校。河合塾が経営する中高一貫校だ。学習者中心の教育メソッド「ドルトンプラン」を取り入れた学びを実践。自分の探究を行う「ラボラトリー」時間では、独自の課題に取り組むことや、PBL(課題解決型学習)プロジェクトを進めたりと、学習も目標や進め方も生徒が自由に進めることができる。

POINT 定期テストがなく、生徒と教師の契約によって、カリキュラムが組み立てられ、4〜8週単位で学びを進めることや、学年を越えたつながりを育む「ハウス」など「学習者中心の学び」を実践。

長野県坂城高等学校
個別最適化と地域連携型探究

長野県坂城高等学校は、1910年創立。経済産業省「未来の教室」の実証事業に手を挙げ、採択された地方のスタンダードな公立校。教科横断・地域連携型の探究活動、ICT活用による個別最適化学習など、教育課程編成・実施のユニバーサルデザイン化を進めている。21年、デジタル庁の「デジタル社会推進賞」最優秀賞を受賞した。

POINT 地方のスタンダードな公立校ながら、製造業が盛んな坂城という地域性を生かした探究活動や、着実なICT活用を行い、教育改革を行っている。新しいスタンダードのひとつになりうる。
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文=Forbes JAPAN フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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