人的資本元年!「失敗だって資産」と言える会社は最高

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人的資本の時代がやってきた

「日本の上場企業が発行する統合報告書を読むと『我が社は失敗を恐れない会社です』『挑戦する文化があります』と謳っている会社が、ごまんとあります。しかし、残念ながら、外部に開示できるような、挑戦を促す仕組み、挑戦の結果がないことがほとんどです。『失敗を恐れずに、挑戦しよう』は、ただのスローガンになってしまっているんです」

これは先日、とある組織風土改革の専門家へのForbes JAPAN5月号での取材の一幕だ。

失敗を恐れない組織風土を作る──事業を断続的に成長させなければならない、日本の大企業の共有課題である。今、組織改革のポーズだけでは許されない時代に突入しようとしている。

なぜか。2023年3月期決算の有価証券報告書より「人的資本開示」が義務化されたのだ。対象は日本の全上場企業。これまでの統合報告書への任意記載からの大転換だ。

どのように人的資本を投入して、事業を成長させられる組織風土をどれほど改善ができたか。今後、経営陣は人的資本への取り組みの明示が求められる。「失敗を恐れない会社に!組織風土改革、やっています」だけでは許されない時がきたのだ。

そんな時代の変化をとらえた新サービスアイデアと出会った。場所は104コンソーシアム(104の読みは「トウシ」)のプレゼンテーションであった。投資コンソーシアムは、さまざまな業界の20代が集まり「投資を学び、話し合い、発想し、新しい投資思考を創造する」ことをコンセプトに運営されている104コンソーシアムにて行われたプレゼンに、Forbes JAPANの編集長は審査員として参加した。

プレゼンのテーマは「もしも全てが投資なら、こんな新サービスがあり得る」。株式や不動産など、投機的なイメージが先行しがちな既存の投資の概念にとらわれず、お金以外も含めた多様な資本を投じ、リターンを得る──そんな投資の本質に基づいた新サービスを提案する趣旨のプレゼンだ。

そこで、Forbes JAPAN賞を受賞したのが住友林業の入社3年目・安田侑加のアイデアであった。考案したのは「住友林業内で頓挫した新規事業の経験をシェアする社内SNS」。彼女が「失敗だって、資産だから」とコピーをつけたそのサービスは、一体どんなものか。紹介しよう。
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文=Forbes JAPAN編集部

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