これから人口が減少していく日本では特に、いかに優秀な人材を採用し、彼らが長く活躍し続けられる仕組みをどうつくっていけるかが、その企業の価値に直結することになるだろう。
給与体系、評価制度、教育制度、福利厚生、働き方の工夫などの「仕組み」を整えることはもちろん大切だが、社員のモチベーションを高めるには、どうすればいいのか。
そのひとつの「スイッチ」となりうるのが、企業がいちばん大切にするコアな価値観、つまり「企業カルチャー」だ。これがしっかり社員の間で共有されていれば、成果の方向性は自ずと定まり、評価軸も明確になる。企業カルチャーによってやる気のスイッチが入ることで、人事制度や仕組みにも大きなかけ算の成果が実現すると私は分析している。
例えば、「新規事業」を生み出し続けることに価値を置く会社では、そのための仕組みづくりに集中投資されており、自ずと社員は新規事業についてのアイデアを常に探し、努力するようになるだろう。
また、人の「成長」を何よりの正義とする会社においては、社員の成長機会を創出するため、多くのチャレンジする機会や、さまざまな自分を高めるための場が用意されていたりする。さらに、唯一無二のキャラクターを生み出し、その世界観に大きな愛着をもつ会社なら、より愛着を増幅させるための投資を怠らず、自分たちの愛するキャラクターをひとりでも多くの人に愛してもらいたいと、さまざまな努力と工夫を重ねることにつながっていく。
「生」の感覚が人を育てる
企業によって優先する価値観は違うが、共通しているのは、企業文化のコアを際立たせるために、ほかの企業から見たら驚くべき人・もの・金・時間の投資を徹底して集中させていることだろう。では、かくいうマクアケ社は何かしているのかというと、やはり企業カルチャー強化のためのさまざまな仕組みを実施している。一部を参考までに紹介しよう。
我々の場合は、チャレンジングな事業者(実行者)によって新しいものやサービスが生まれ、広がることに喜びを感じるというコアな価値観をもっている。そのため、それらが生まれる現場や作り手である実行者から生の話を聞き、自分の仕事による貢献を感じたり、要望を直に聞いたりする機会を創出したりするために多大な投資をしているのだ。