経営・戦略

2023.04.27 10:00

「対立を解く」が鍵? 持続可能経営のための新しい人事の形とは

「時間」についての共通のゴール。生産性の意味が変わった!

工場生産型の人事が一般的であった20世紀。ここでの工場生産型とは、1時間で1000個生産する商品を作るために、2時間かけたなら2000個生産出来る、といった考え方です。これは、長時間働けば働くほど生産量は増えるので、長時間労働は生産性が高い、と考えられていました。

「24時間、戦えますか? ジャパニーズビジネスマン!」といったTVCMも懐かしいですが、結果的には、従業員への負荷がかかっていたのが昭和でした。が、この働き方を今でも続ける会社は、平成や令和には、ブラック企業として避けられるように。そこで、現在は、新しい意味での「生産性向上」を目指す必要があります。

具体的に言えば、昭和までだったら、「3日間徹夜で、この企画書を作りました!」といえば、「頑張ったなー!」と褒められて、残業代がたくさんもらえたわけです。が、いま同じことをしたら「3時間で企画書を作れる」人財には勝てなくなりますし、「3時間でできる」人財こそ、高額な報酬をもらうべきです。さらに言えば「AIで企画書を3分で書ける」時代ですから、生産性の意味が、これまでの工場生産時代とは全く違ってきています。

つまり、社員と共に「時間を短く成果を出せる」ことを評価する仕組みを作り、新しい意味での生産性を出せることを「共通のゴール」とすべきなのです。

昭和22年に「一日8時間、週48時間の労働時間」と制定された労働基準法も、平成5年には「週の労働時間40時間」に改正され、その後、幾度かに及ぶ改正を経て、平成30年には「時間外労働の上限やフレックスタイム制」が掲げられました。そして満を持して今年4月1日から、新たに「月60時間を超える時間外労働の割増賃金が、これまでの大企業50%と中小企業25%に対して、大企業・中小企業ともに50%に引き上げる」と、厚生労働省から発令されました。つまり、「工場的な生産性よりも、時間当たりの成果を重視する生産性」に、より重きを置くべき時代になったのです。

これは、社員にとってもありがたいはずです。そして、「労働時間を短く、給料をあげる」こういった点を「共通のゴール」として実現するために、会社はどうすればいいのかを考え続けるという、違った視点に経営者は時間を使うべきなのです。その他、「健康」や「人間関係」など、優秀な人財が残って頑張りたいと思うような「共通のゴール」を、ざっくばらんに社員と共に語り合って言語化していき、納得感をもって共有化できる会社が生き残っていけるのだと考えています。
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文=中村麻美

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