秋に押富さんのシンポジウム 物語は続く
この秋、名古屋で開かれる「NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク」の全国の集い(9月17、18日・名古屋市中村区のウインクあいちで)で、私が企画者になり「押富俊恵さんが目指した地域共生」というシンポジウムを18日午前11時から開く。シンポジストの顔ぶれを紹介したい。
まず、上の記事にも登場した、押富さんと一緒に講演活動を続けた「当事者セラピスト」コンビの作業療法士・山田隆司さん。尾張旭市で放課後デイサービス、児童発達支援を手掛ける「にこまる」の施設長でもある。
医療側からは、愛知県の江南厚生病院の地域医療福祉連携室長・野田 智子さん。2019年に名古屋大学で行われた日本エンドオブライフケア学会の学術集会で、押富さんの特別講演の座長を務めた。その後、押富さんの日常を動画に収めて院内研修で活用することを企画していたが、願いを果たせなかった。
地域福祉の立場からは、ケアクリエーターとして名古屋を中心に活動してきた大河内章三さん。私が2020年に開いた押富さんの講演会に参加して「意思決定支援」の課題を痛切に感じ、この講演動画をバイブルとしているという。
そして、次世代の当事者代表として佐野夢果さん。山田さんとは長年の心友で、一緒に登壇することが念願だったという。若い感性の輝きに触れてほしい。
押富さんの活動は、障害者福祉の枠にとどまらない普遍性を持って、私たちの生き方、社会の在り方を問いかけている。一人一人の心の中にいる押富さんが、どんな物語を展開させていくか、とても楽しみだ。
シンポまでに、この連載「人工呼吸のセラピスト」を土台にした本も、中日新聞社から出版されることが決まった。活動の轍(わだち)をたどりつつ、回顧ではなく、未来への物語として描くことを心掛けた。物語は続いていく。これまでのご愛読に、心から感謝したい。
連載:人工呼吸のセラピスト
(*隔週公開をしてきた連載形式は終了します。今後は、不定期で寄稿します)