AI

2023.03.07

グーグルチャイナ元社長が語る「2041年のAIと人の関係」

アップル、マイクロソフト、グーグルでAIの研究・開発の最前線に身を置いてきた人工知能学者のカイフー・リー氏。

米カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得したのち、2000年代後半にはGoogle(グーグル)チャイナの社長を務めた人工知能学者のカイフー・リー(李開復)氏が、SF作家のチェン・チウファン(陳楸帆)氏と共著した『AI 2041 人工知能が変える20年後の未来』(以下、AI 2041)の日本語版が、2022年末に文藝春秋から出版され話題を呼んでいる。

今回、リー氏への単独インタビューの機会を得て、アカデミアとビジネス両方の視点から、今後のAIの展望や話題のChatGPTに対する見解などを語ってもらった。

SF的な想像力を働かせて未来を見る

リー氏の著書である『AI 2041』はSF(サイエンス・フィクション)的な視点から10話の物語に紡ぎ出した大作だ。読者を力強く引き込むチウファン氏によるストーリーと、その中に登場するAIにまつわるテクノロジーやトピックスについて1話ごとにリー氏が解説を加える形式で、これから約20年後に訪れる「人間とAIの未来」が軽快なテンポで描かれる。

本書において、リー氏とチウファン氏がコラボレーションにより挑んだ「Sci-Fi(SF)プロトタイピング」とは、SF的な想像力を豊かに膨らませながら未来のシナリオを予測し、続いて未来を起点に今を振り返りながら考察を深める創作手法のことだ。

リー氏は、現在、人工知能(AI)に対して一部間違った理解が広がり、AIがとても難解なものであると信じ込み、恐れている人々が多くいることを懸念する。

「AIを正しく知ることが、AIがもたらす恩恵に預かり、AIの問題点を正しく把握するための近道になります。そのためにSFプロトタイピングの手法を採り、人間とAIの未来を誰にでもわかりやすく伝えることが最適と考えました」

名作と呼ばれるSF作品にはその世界に没入して、フィクションというフィルターを通して現実を振り返りながら、想像をたくましくできるおもしろさがある。『AI 2041』はその好例だ。
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編集=安井克至

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