AI

2023.03.07

グーグルチャイナ元社長が語る「2041年のAIと人の関係」

アップル、マイクロソフト、グーグルでAIの研究・開発の最前線に身を置いてきた人工知能学者のカイフー・リー氏。

「そのときを迎えても、AIが人間の生活を助けて、人間の持つ可能性を高く押し上げてくれるような明るい展望も私は持っています。AIの最も価値ある使い方を見つけることが大事なのです。だからこそ、私はAIの能力を活かせる用途を探すことに長い間腐心してきました」

多くの人々は「AIと人間を比較する」ことにより、その可能性や脅威を予測しようとするが、リー氏は「冷静に、そしてオープンマインドな姿勢で様子を見ること」も大切だと話す。

投資家の視点から見る「日本の持つ可能性」

リー氏は現在、自身が中国に創立したベンチャーキャピタル「Sinovation Ventures(シノベーション・ベンチャーズ)」の代表を務めている。投資家としてのリー氏は日本、あるいは東南アジアにおけるイノベーションにどんな期待を寄せているのだろうか。

日本についてはエッジの立った先進技術を生み出せることが大きな強みとしながら、一方ではまだベンチャーキャピタルと起業家を結び付けるエコシステムが十分に成熟していないことが課題とリー氏は指摘している。今の日本に必要なのは「有望なスタートアップが世界に進出して、大きく育つことを支援するプラットフォーム」なのだと。

東南アジアの国々の中では「シンガポールはいくつかの領域でリーダーシップを発揮する可能性がある」とリー氏は語る。その理由は、シンガポールでは英語が日常的に使われており、小さな国でありながらエスニシティや文化の多様性にも富むことから、グローバルなマインドセットを持つ起業家が育ちやすい土壌があるからだという。

「東南アジアは大きな成長市場ですが、技術の成熟度にバラツキがあります。シンガポールはさまざまな優位性を持つ国ですが、国土と人口の規模が小さいという課題もあります。今後はマーケットの動きも急速に移り変わることが予想されます。長所と短所を把握して、独自の強みを発揮できる国が脚光を浴びることになりそうです」

リー氏は起業家としての目線から、日本の魅力についてもう1つ見解を加えた。

「日本はARPU(Average Revenue Per User:平均売上金額)がとても高い地域であることが、起業家にはとても魅力的です。中国に比べて国土は小さいものの、国民の購買意欲はとても旺盛です。当社はテクノロジーの力で世の中を変えようと奮闘している起業家を応援しています。日本の起業家の方々には粘り強さと勤勉さという『強み』を大切にしながら、創造性を前面に打ち出すことによって成功を勝ち取ってほしいと願っています」

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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編集=安井克至

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