タスマニア島で空想した地球の未来
せりか:ところでダニエルさんは、人類はなぜ宇宙を目指す必要があると考えていらっしゃいますか。ダニエルさん:私の考えについて話す前に伝えておきたいのは、私はオーストラリアにあるタスマニア島の農場で育ったことです。
せりか:世界で一番空気と水が美味しいと言われている島ですね! いつか私も行ってみたいと思っています。
ダニエルさん:タスマニア島の自然はとても美しいですし、ダムの建設からフランクリン川を守る活動は、世界で初めて成功した環境保護運動でもあります。私は農作業には向いていなかったので、農場の自動化や宇宙へ行くこと、環境を守ることばかりを空想していました。
シドニーの大学に進学してからは、どうすれば人類のためになれるだろうかと考えるようになりました。そして行き着いたのが、私たち人類は地球上の環境に依存しているということと、私たちは地球の環境を維持できるように努めるべきであり、人類を惑星間に移住させるべきであるということでした。工業や発電を地球外で行うようにすれば、地球全体に国立公園のように素晴らしい自然が戻ってくるかもしれません。
さらに衛星による地球観測のおかげで、私たちは地球温暖化の様子をモニタリングして、人類の活動が環境にどのような影響を与えているかを理解できるようになりました。宇宙開発を促進することで、人類の宇宙移住と環境汚染による影響のモニタリング、両方を進められると思うのです。
せりか:素敵な考えですね。ダニエルさんがOrbit Fabに情熱を注いでいる理由がわかったような気がします! ちなみにOrbit Fabのビジネスの恩恵を、地球で暮らす私たちも実感できるでしょうか。
ダニエルさん:地球上で作れなかったものを、作れるようになる技術の開発に繋がるかもしれませんね。例えば150年前に、金属製で二重構造の瓶の内瓶と外瓶の間を真空にすると、保温・保冷できることがわかりました。当初はその技術を何に使えるのか、考え付く人はいませんでした。しかしそれから50年、100年と経つうちに、魔法瓶や冷蔵庫の「真空チルド」など、真空技術を利用した製品が数多く生まれました。
同じように、私たちが軌道上で化学物質を生産するようになれば、新しい技術を発明できるかもしれません。そしてその技術を、地上での製造に応用できるようになる日が来るかもしれませんね。