健康やウェルネスが優先される時代へ
これまでの従来の製品が伸び悩むと思われる中、消費者の健康やウェルネスのためのサステナブルな食品は、付加価値を高める機会を提供し、買い足しを促進することが期待されます。パンデミックにより、人々は健康とウェルネスを一層意識するようになり、数年にわたる傾向が急激に増幅しました。多くの消費者が、化学物質不使用やオーガニックの食品、健康上の目標に合致したより健康的な食材を好む傾向にあります。
また、2030年には、高齢化がますます進み、ミレニアル世代が率いる世帯では食べ物が薬の代用となる考えが主流になると思われるため、健康およびウェルネスの要として食品を優先する傾向が強まると思われます。
ブランドや小売企業は、こうしたシフトの機会を利用するために、ビーガン、グルテンフリー、乳製品代替品、低アルコール飲料などの食品・飲料のトレンドを常に意識する必要があるでしょう。また、今後ますます強まると思われる、消費者の健康への期待に応えることができるように、継続して強力な新製品を提供する必要があるでしょう。
4. 食料品小売市場の変革に関する最新テクノロジー
2030 年まで食料品小売市場の今後に変革をもたらす上で重要な役割を果たすと思われる代表的なテクノロジーについて、以下に詳述します。
図9. 食料品市場の変革を促進する代表的なテクノロジー
WHAT WE THINK
小売企業にとっての意味合い
・2030年までに、一人当たりの購入額の縮小、質素な買い物、Eコマース(クイックコマース含む)の拡大が、小売企業の利益率を押し下げることが予想されます。同時に、プライベートブランドや健康&ウェルネス関連のビジネスチャンスが、利益にプラスの影響を与えることが期待できます。
図10. 2030年までの食料品小売企業の利益率のバランス
出典:Coresight Research
・寿命が延び、仕事をリタイアする人が増えることで、消費者支出曲線は拡大し、小売企業にとって獲得できる消費者一人一人の価値は従来よりも高くなる可能性があります。その結果、新規顧客獲得による費用対効果が高まるため、より高い顧客獲得コストへの投資が行われると思われます。
・消費者の「倹約志向」と「健康志向」の二極化は、ディスカウントストア、量販店、倉庫型クラブを含む価格重視の小売企業と、ニッチで健康的な商品を提供する専門店の両方の成長を支えることになると思われます。
・小売企業は、プライベートブランド商品を通じて、健康&ウェルネス商品と価格帯の改善を橋渡しすることで、消費者への商品力アピールを高めることができます。