今年初め、Coresight Researchでは、新たにオープンした3つと最近改装された1つの、計4つのショッピングセンターを視察しました。本レポートでは、これらのショッピングセンターがどのように運営されているかを、当社独自のフレームワーク「BEST」を通じて検証しています。
また「BEST」フレームワークとは、ブランドの構築(B)、体験型小売の提供(E)、差別化されたサービスの提供(S)、テクノロジーの統合(T)のことで、当社ではこれらを参考に優れた小売のあり方について考えることを提唱しています。
市場規模とビジネスチャンス
当社では、小売市場におけるマルチチャネル小売企業の役割はますます大きくなると推測しており、2022年にはオンラインチャネルを上回ると予想しています。米国の小売市場や消費者は、ショッピングモールがいかに重要であるかについて、誤解をしているかもしれません。
Coresight Researchでは、米国消費者動向調査の一環として、消費者のショッピングモールや屋外型ショッピングセンターへの来店動向を追跡しており、図1に示すように、その動きは年初から着実に増加傾向を示しています。
2021年開始時点では、調査前の2週間に屋外型ショッピングセンターを訪れたと回答した人は19.0%で、屋内型ショッピングモールを訪れたと回答した人は12.7%に過ぎませんでした。しかし、2022年2月以降は、両数値とも3割を超える水準で推移しています。8月は両数値とも減少しましたが、これはパンデミックによる回避習慣が戻ったのではなく、新学期に向けた準備が一段落したことを反映していると思われます。
つまり、人々はショッピングモールやショッピングセンターに戻ってきているのです。しかし、もはや買い物をするためだけに来店するのではなく、エンターテイメントやイベント、食事などと共に、コミュニティの一員であることを実感できるような空間を作り出すことが必要です。
図1. 過去2週間にショッピングモールと屋外型ショッピングセンターを訪れた米国消費者(回答者の割合)
(図内の訳、コメント「消費者は社会の一員である事を実感しながら買い物するためにショッピングセンターやモールに戻りつつある」)
対象:米国の18歳以上の消費者
出典:Coresight Research