スーパーマーケットは、顧客層の高齢化に直面している
当社の調査によると、従来からある大手スーパーマーケットチェーンは、量販店や倉庫型クラブなどの比較的新しい食料品業態よりも、平均よりも高齢の顧客層を惹きつける傾向にあることが分かっています。
そのため、スーパーマーケットチェーンは、ターゲットとする顧客の年齢層が著しく高くならないようにし、幅広い消費者層を保つために適切な投資を行うことで、この問題に対処する必要があるでしょう。この課題は、小規模チェーンにとってはより深刻で、デジタルやプライベートブランドの変革への投資能力が低いため、高齢化を相殺するほど多くの若年層を引き込むことができない可能性があります。
しかし、高齢化が進み、高齢者世代に資産が蓄積される傾向にある社会では、高齢者層に本質的な魅力がないわけではありません。とはいえ、顧客基盤が充分に更新されないまま高齢化するリスクを常に意識しておく必要があるでしょう。
一方、ディスカウントストアやダラーストア、量販店、ウェアハウスクラブなどの非専門小売チャネルは、消費者の節約志向(後述)の傾向に支えられ、需要が引き続き高い事が予想されます。これらのチャネルの持続的な成長は、従来型のスーパーマーケットの市場シェアが低下することを意味しており、スーパーマーケットチェーンの変革と顧客層の刷新が一層急がれることを示唆しています。
図3. 平均年齢と世帯年収、過去2週間の食品購入に利用した小売店
※バブルの大きさは買い物客の数、十字は調査対象者全体の平均、平均は18歳未満を除く、平均は年齢・所得帯の中間値で算出
*Krogerのバナーは、City Market、Dillons、Fred Meyer、Fry’s、Harris Teeter、King Soopers、Kroger、Ralphs、Smith’s Food & Drug
**Ahold Delhaizeのバナーは、Food Lion、Giant、Hannaford、Stop & Shop
対象:18歳以上の米国人回答者5,440人、調査時期は2022年6月~8月
出典:Coresight Research
フードサービスは小売業に対してさらに大きなシェア獲得へ
2020年の初め、米国の食料品店の多くは、その先の厳しい10年間を覚悟していました。レストランやその他のフードサービス事業者は、家庭での調理がより簡単になるようなサービスを提供することで、食料品店から売上を獲得していました。
しかし、パンデミックにより、食料品小売業と外食産業の勢いは逆転し、レストランは政府によるロックダウンや人数制限、ソーシャルディスタンスなどの規制に見舞われることになりました。一方、食料品店にとっては、内食へシフトし、家庭での調理が増えたため、パンデミックを機に売上が増加しました。