質素な消費者層の拡大
1980年から2000年にかけて生まれたミレニアル世代は、質素な買い物を好み、価格を重視する傾向があります。大不況の時代に生まれ、多額の負債を抱えたこの年代は、それ以前の世代に比べて消費力が弱く、価格を優先します。質素倹約への動きは、短期的な経済的混乱に左右されることなく、構造的な傾向として続くと思われ、小売企業にとってはさらなるプレッシャーになると思われます。
当社の調査データによると、若いミレニアル世代は、量販店で買い物をし、より意識的な購入をする傾向があるため、より質素で慎重に買い物をすることが示唆されています。
一方で、高齢のミレニアル世代は、若い世代よりもクーポンを利用したり、お買い得品を求める傾向があるものの、健康的な食品にはより多くの支出をする傾向にあります。このような倹約志向に伴い、スーパーマーケットから量販店への買い替え、プライベートブランドへの切り替え、強力なロイヤルティプログラムや割引プログラムの導入が進むことが予想されます。
また、ミレニアル世代はテクノロジーネイティブとして育ち、それより上の世代よりも情報通である場合が多くあります。彼らは購入前に商品についてよく調べ、オンラインでブランドをフォローして割引を受けたり、店舗で購入する前にオンラインで購入品を調べたりするなど、テクノロジーを使って節約の機会を見つける傾向があります。
3. 商品の買い控えと買い増し
プライベートブランドは消費者の買い控えから好影響を受ける
価格重視の消費者の増加により、プライベートブランドへの需要が高まると思われます。IRIのデータによると、米国の食品・飲料品のプライベートブランドは、2022年から936億ドル(85%)増の2030年には2035億ドルになると推定されます。
プライベートブランドが成功すれば、消費者に支持される自立したブランドに成長し、強力な競争優位要素となることが期待できます。プライベートブランドの品揃えを充実させている小売企業は、この移行に積極的に投資することができる一方で、実質的な投資をしていない小売企業にとっては、この分野での大胆な取り組みが戦略的な焦点となると思われます。
図8. 米国の食料品プライベートブランド売上(10億米ドル)
※オンライン販売分を除く
出典:IRI POSデータ/Coresight Research