・米国の食料品市場は、価格重視の買い物客の増加とEコマースの成長により、2030年までスーパーマーケットを中心に着実に統合が進むでしょう。本レポートの作成中に発表されたKrogerとAlbertsonsの合併は、この傾向の一例です。大手企業は、規模拡大のメリットを享受し、オンライン食料品やその他のイノベーションへの投資を行い、積極的に価格競争を行い、中小のライバルを抑えてシェアを拡大していくと思われます。
一方、中小企業は、価格競争の激しい食料品事業において、利益率向上のための差別化要因となり得るオムニチャネル機能やプライベートブランドに投資するための資本捻出の課題に直面することになるでしょう。その結果、投資への資金力を持たない多くの中小企業は、市場からの撤退や、より有力な競合他社に買収される可能性が高いでしょう。
・全体として、米国の食料品分野は厳しい10年に直面することになりそうです。パンデミック以前からあったマイナスの影響は今も変わっておらず、オンライン食料品への移行が加速する一方で、ディスカウントストアが店舗を拡大し、価格を下げ、利益を圧迫しています。また、外食産業は、食料品小売から消費者を奪い、 代替チャネルとしてより強く台頭してくるでしょう。このように、小売企業は、根強い課題に的確に対応し、行動様式の変化や技術的な混乱を乗り越えて、パンデミックの勢いを維持することが必要だと思われます。
不動産会社にとっての意味
・不動産会社は、小売企業が消費者の買い物習慣の変化に適応するために、店舗の再編成や縮小を行う可能性があることを意識しておく必要があるでしょう。小売企業は、買い物を楽しいライフスタイルに変えるような大型の旗艦店をオープンさせる一方で、利便性と効率的な買い物に対する消費者のニーズを満たす、より小規模で的を絞った店舗に注力するようになると思われます。
テクノロジーベンダーにとっての意味合い
・人件費の増大と人材確保は、すべてのチャネルにおいて、小売企業の利益率を圧迫します。小売企業は、店舗システム、オンラインプラットフォーム、サプライチェーン、ラストワンマイル配送、モバイルアプリケーションなど、事業運営全般の効率化を図るため、自動化に多額の投資を行うことが予想されます。そのため、テクノロジーベンダーはこのような機会を生かし、食料品小売業が抱える問題点に対する自社ソリューションの重要性をアピールする必要があるでしょう。
IRI免責事項:本記事に記載されている情報は、IRI E-Market Insights™ソリューションによって報告されたデータの一部に基づき、Coresight Researchが独自に解釈したものです。これらの情報は、IRIが提供した時点では信頼できると考えられるものですが、IRIまたはCoresight Research, Inc.がすべてを網羅し、保証するものではありません。上記の一般性を制限することなく、特定のデータポイントが他の情報源と大きく異なる場合があります。本サイトに記載されている意見は、Coresight Research, Inc.の判断によるものであり、変更される場合があります。IRIは、この情報の使用から生じるいかなる種類の責任も負わないものとします。
※この記事は、2022年11月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。