世界のハイエンド層を魅了する「スポーツホスピタリティ」とは

バドミントン元日本代表選手・フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニアコンサルタントの池田信太郎(左)、ラグビー元日本代表選手・HiRAKU代表取締役の廣瀬俊朗(中央)、Urban Cabin Institute パートナー山田理絵(右)

スポーツを観戦する時、私たちは他では味わえない高揚感、緊張感、そして快哉に包まれる。勝利というゴールに向かって高い集中力で全力を振り絞って戦い、最後に歓喜の輪に身を置く選手たちの姿は、私たちを目覚めさせ、深い喜びと英気を与えてくれる。

唯一無二の体験を求める“ハイエンド層”はスポーツへの関心が高く、米調査会社WEALTH-Xが2021年に発表した「富裕層の関心ごと」調査で、スポーツは慈善事業に次いで2位、コンテンツとしては旅、アート、教育などを差し置いてトップに挙がっている。

彼らを観戦でもてなす「スポーツ・ホスピタリティ」が、欧米を中心に盛んになっており、日本でもスポーツイベントの収益源として期待されている。試合前後のパーティーや有名シェフによる食事、選手による見どころの解説などが用意された観戦スタイルは、2019年に横浜で開催されたラグビーのワールドカップで本格的に導入され、横浜会場の個室(各20人分、全7試合、4385万円)は全室完売したという。

ハイエンド・ブランディング・プロデューサーの山田理絵が、鎌倉にある「BLACK CUBE」にゲストを迎え、ビジネスの高付加価値化のヒントを聞き出す対談連載。第10回は、ラグビー元日本代表選手の廣瀬俊朗氏とバドミントンの池田信太郎氏に、スポーツの新たな楽しみ方やスポーツビジネスの可能性を聞いた。(このトークの対談全編はこちら


山田:スポーツはお二人にとってどのようなものですか?

廣瀬:自分自身の基礎を作ってくれた、まさに人間形成の場であったと思います。

池田:スポーツビジネスのスケールが年々大きくなってきていて、その周辺の産業が年々注目されていると感じています。

山田:世界のハイエンド層にもスポーツ経験者が多く、そこで培った忍耐力や決断力などを活かして、ビジネスでも成功しています。そうした方とどのような接点がありますか?

廣瀬:ラグビー好きな方に経営者の方が多いですね。ワールドカップ日本大会では、日本の活躍もあって話で盛り上がり、ビジネスの話にも及びました。

ラグビーとワインの親和性について語り合ったこともあります。ラグビーのチーム作りも選手の素材によって変わるし、ワインも土壌や天候によって毎年同じものは作れない。そこに喜びがあるし、どっちも自分本位じゃいけないよね、など。



池田:スポーツ観戦の場で出会う人たちには、好きなチームや選手、プレーなど共通の話題や目的があります。その場をラグジュアリーブランドが提供していたり、有名店の料理を食べられたり……周辺の産業も含めると、スポーツは非常に有効的なソリューションの一つだと思います。
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文=山田理絵

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