キャリア・教育

2022.11.16 08:20

世界のハイエンド層を魅了する「スポーツホスピタリティ」とは

バドミントン元日本代表選手・フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニアコンサルタントの池田信太郎(左)、ラグビー元日本代表選手・HiRAKU代表取締役の廣瀬俊朗(中央)、Urban Cabin Institute パートナー山田理絵(右)


廣瀬:
一つはいい仲間になること。ラグビーって、痛いし怖いししんどい。だからこの仲間と一緒にやろうと思わないと互いに体を張れない。
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もう一つは、勝った後の世界を共有して、それぞれが自分事化すること。「日本中が応援してくれるあの世界をみんなで作りたい。どう? そのためにベストを尽くそう」と。試合に出られない選手は腐りがちですが、フィールドでもベンチでも、自分の立ち位置でできることを考える中で「ここにいてよかった」って思えるようになるんです。



池田:その点でいうと、小・中学校の先生やコーチの教育は未だに一方的ですよね。例えば、試合後にコーチの元に走っていって「お願いします」っていうんです。今考えると何をお願いしていたのか分からないし、コーチも「あれができてない、もう1回やれ」と言うだけで、問いを考えさせない。
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原因や課題を能動的に見つけるコーチングをやっていかないと、子供たちが自ら見つける努力をしなくなってしまう。するとスポーツからビジネス脳が育たないし、生産性がない。



僕はスコットランド人とダブルスを組んだ時期がありましたが、食事しながら翌日の試合の戦略を一緒に考えたり、コーチと対等に話ができました。日本だと「明日、どう戦うか分かってるか?」「分ってません」「じゃダメだ」みたいな不毛なディスカッションだったんです。その辺りの改善が必要ですね。エディさん(元ラグビー日本代表監督)とはどうだった?

廣瀬:「なんでミスしたのー?」「オッケー、ネクストね」この繰り返しでしたね。

山田:指導者が答えを言うのでなく、引き出す。そこはスポーツに限らず日本の教育全般に必要ですね。

廣瀬:あと、子供たちには自分が好きなスポーツに出会える場を用意してあげたい。違うスポーツをやることで得るものも多く、五郎丸選手も僕も、サッカーをやったことでキックがうまくなり、それがユニークポイントになりました。

池田:部活動の地域移行が議論されていますが、専門の人が良い指導をしてくれるのと、子供が少ない地域や学校でも何校か集まれば野球やチーム競技もできるようになるので、スポーツの選択肢を広げる意味でも今後とても重要な転換となるはずです。

山田:最後に、NFTやメタバースなどWeb3の発展による新たな展開は見込まれるのでしょうか?



池田:スポーツがライブエンターテイメントであることは揺るぎない本質ですが、NBAトップショットのようにワンシーンを切り取って、コンテンツに所有権をつける。その希少価値が高ければ高いほど投機で買う人もいれば、本当のファンだと示したい人もでてきて新しいコミュニティが生まれ、マネタイズの可能性が非常に高まるでしょうね。

山田:リアルは観る方に集中して、名シーンは買うようになっていくといいですね。

廣瀬:デジタルの追求も、試合そのものを見る瞬間もすごく貴重。ラグビーの試合を見ていろんなものが取れる人って結構多いんですよ。禅やデトックスのようなあの感覚は大事にして、双方の良さをうまく生かしながら進めたいですね。

文=山田理絵

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