世界のハイエンド層を魅了する「スポーツホスピタリティ」とは

バドミントン元日本代表選手・フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニアコンサルタントの池田信太郎(左)、ラグビー元日本代表選手・HiRAKU代表取締役の廣瀬俊朗(中央)、Urban Cabin Institute パートナー山田理絵(右)


山田:富裕層の関心分野の調査で、スポーツはコンテンツとしてはトップでした。ハイエンド層が好むスポーツをどう見ていますか?

池田:ゴルフ、テニス、サッカー、ラグビー。これらのビッグスポーツは、一つの競技だけで何百億円、何千億円という収益をもたらします。国際オリンピック委員会(IOC)はアマチュアスポーツが結構な数を占めていて、産業的には非常に大きいですが、国によって競技の認知や盛り上がりに偏りがあり、グローバルに展開しづらい。

マーケットの規模も様々です。ラグビー同様、バドミントンはイギリス発祥のスポーツですが、マーケットとしてはアジアが大きい。一方でテニスは、どちらかというとヨーロッパです。企業がどの市場を狙うのかによって選ぶスポーツが違ってきます。

山田:日本でのラグビーW杯が、対富裕層ホスピタリティとして非常に成功したと聞きますが、具体的にどのような成果があったのでしょう。

廣瀬:試合会場への導線が優先されたり、試合前にレジェンドからその日のキーファクターを教われたり、試合後にパーティー会場でみんなでワイワイやってから帰る。それを当たり前のように各スポンサーが実施していたのはすごくよかったと思います。

もう1つ、海外のお客様が平均3週間ぐらい滞在して、その間に日本の各地でいろいろなものを楽しんでもらえたこともよかった点ですね。

池田:スポンサーする企業にとってもメリットがあります。社員にイベントを推進させることで、どういうお金の流れができているのか、スポンサードシップがどういうことなのかを学ばせる。その経験を通して社員が成長し、さらなるスポンサーシップにつながり、企業価値が高まっていく。そうした人材育成も含めた循環が非常に賢いなと見ています。



山田:そのようなスポンサードは、今後増えていきそうでしょうか?

池田:増えていくでしょう。同時に、試合のライツホルダーがどう展開するかが重要です。以前僕が仙台で大会を開催した時に、海外のようにコートサイドでワインを飲みながら観戦してもらったら、「試合を見ながらワイン飲ませるってどういうことだ」と協会から批判されました。

選手はできるだけ近くで良い体験を楽しんでもらいたいんですが、協会側は試合を見せることが一番で顧客目線でない。そういうグローバルなプレゼンテーション思考になっていないことが、日本のスポーツには結構多いです。
次ページ > まだまだある、こんなスポーツの楽しませ方

文=山田理絵

ForbesBrandVoice

人気記事